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ようこそ!市長室へ(43)みんなの笑顔を願って…人権擁護委員

更新日:2016年11月28日

 それまでは、気付きませんでした。今朝はなんだかバスが混んでいるなぁと感じて、車内を見回すと、私の隣のシート以外は満席で、立っている人もいるほどの混雑ぶり。そういえば、私の隣席はいつも空いている、たまに座っても黒人が多い。そのことを、友人に尋ねると、「よくあること。一種の人種差別だよ」と、笑顔で教えてくれました。米国で経験した、人生初の差別される側の体験でした。
 人権と聞くと難しく感じますが、本人がそれと意識せず、人を人として尊重しない言動は起こりがちです。いじめや障がいのある方への偏見、セクハラ、パワハラ、ネットでのプライバシー侵害など、枚挙にいとまがないのは残念です。
 特に、子どもたちの間で、いじめなどの人権侵害が起き、生命に関わる深刻な事態の発生が止まらないのは、本当に悲しいことです。そんな中、保育園や幼稚園、小学校を訪問し、紙芝居などで、人権の大切さを啓発している方たちがみえます。法務大臣から委嘱を受けた人権擁護委員です。現在、可児市で10人の方がボランティアで活動しておられます。子どもには人権と言っても難しいので、相手を認めることや、思いやる気持ちを持ってもらえるよう工夫してみえます。「大丈夫?」「頑張って!」と、子どもたちから自然に、思いやりの言葉が出たとき、委員さんの思いが伝わっていると実感でき、活動の原動力になるとのことです。
 福祉センターで行っている人権・困りごと相談は、人権擁護委員が交代で担当しています。相談内容は、近隣関係、家族間の問題などデリケートで、緊張感を持って接してみえるそうです。「1人の人間として、相談者の話を心で「聴く」ことを大切にしています」と、委員さんが話してくれました。相談者の悩みを聴き、解決に導こうという懸命な志を感じます。
 委員のお一人、山田博司さんからは「啓発活動では、子どもたちの心に人権の種を蒔き、柔らかな芽が伸び、みんなが笑顔でいられることを願っています。また、相談については、これで良かったのか、力になれたのかと不安がよぎりますが、相談者の心に寄り添い一緒に悩み、解決の道を探し見つけていくことに努めています」とお話をいただきました。
 12月4日から10日は人権週間です。いま一度、お互いを尊重し、思いやる気持ちを確認し合い、新年を、みんなの笑顔で迎えましょう。

 可児市長 冨田成輝

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