更新日:2022年11月24日
環境省ホームページ「日本の外来種対策」から図を引用して作成しています。
外来種ってなに?
外来種とは、もともといなかった地域に人間によって持ち込まれた生き物のことです。国内であっても、もともとそこに生きていなかった地域に人間の活動によって持ち込まれた生き物も外来種になります。
・ペットや観賞のためのもの
・牧草や野菜といった農作物や家畜など
・外国の荷物にまぎれてやってくるもの
などが外来種に当てはまります。
渡り鳥、海流で運ばれた魚や植物の種など自然の力で移動するものは外来種ではありません。
外来種に分け方があるの?
外来種には次のような分け方があります。
国外由来の外来種
・外国から持ち込まれた外来種のことです。外来生物法ではこの外来種のことを「外来生物」と言います。
国内由来の外来種
・国内にもともと生きている生き物で、その生き物が生きていなかった国内の別の地域に持ち込まれた外来種のことです。
侵略的外来種
外来種の中でも、地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かすおそれのある外来種のことです。「侵略的」というと、恐ろしくて悪い生き物と思われがちですが、もともと住んでいた場所では普通の生き物として生活していたものなので、その生き物自体が恐ろしいとか悪いというわけではありません。たまたま持ち込まれた場所の条件が、大きな影響を引き起こす要因を持っていただけなのです。環境省と農林水産省では、日本での侵略的外来種を整理した「生態系被害防止外来種リスト」を作成しています。
特定外来生物
次に当てはまる生き物の中から外来生物法で指定されます。生きているものだけに限られ、卵や種子なども含まれます。
・外来生物(海外起源の外来種)であること。
・生態系だけでなく、人の生命・身体や農林水産業へ被害を及ぼしたりおそれがあるもの。
身近にいる外来生物は?
国内には2,000種以上の外来生物が生息していると言われています。皆さんの身近には下記のような外来生物がいると思われますが、その全ての外来生物が問題になっているわけではなく、トマトやトウモロコシなどの農作物や牛や豚などの家畜、ペットのように私たちの生活に欠かせない生き物もたくさんいます。
〈魚 類〉
ブルーギル、オオクチバス(ブラックバス)、タイリクバラタナゴ
〈は虫類〉
アカミミガメ(ミシシッピアカミミガメ)
〈両生類〉
ウシガエル
〈鳥 類〉
ドバト、スズメ
〈ほ乳類〉
ノネコ、クマネズミ、ハクビシン、ヌートリア、アライグマ
〈甲殻類〉
アメリカザリガニ
〈昆 虫〉
モンシロチョウ
〈植 物〉
ホテイアオイ、セイヨウタンポポ、セイタカアワダチソウ、ハルジオン、ヒメジョオン、イチョウ、イネ、ヒガンバナ、
レンゲソウ、ジャガイモ、ネギ、コムギ、ナズナ、ハコベ、オオイヌノフグリ、オオキンケイギク、アレチウリ
外来種が引き起こす問題ってなに?
生態系への影響
・外来種の侵入により、もともとその場所で生活していた在来種と競争が起こります。
・本州から南にしかいなかったカブトムシが北海道で発見された事例があり、北海道の生態系への悪影響が懸念されています。
・同じ種類の生き物であっても、長い期間をかけてその地域の環境に合わせて進化し、地域固有の種(亜種)を生んでいます。
・別の地域から同じ生き物を持ち込むと、遺伝的に近いので簡単に交雑して地域固有の種が失われることがあります。
人の生命・身体への影響
・毒をもっている外来種にかまれたり、刺されたりする危険があります。
・もともとその地域にはなかった病気の発生や感染の危険が増える可能性があります。
※もともと国内にいる生き物に比べて外来種の方が危険であったり悪いということではありません。
農林水産業への影響
・畑を荒らしたり、漁業の対象となる生物を捕食したり、危害を加えたりするものもいます。
外来種や外来生物について考えて欲しいこと
外来生物として扱われている生き物たちは、人間の都合や活動によってもともと住んでいた場所から連れてこられたり、荷物にまぎれてやってきています。日本は様々なものを外国からの輸入に頼って生活しており、それによって外来生物が入ってくる機会が増えています。このような中で、人間の生活に役立ったりする外来生物は増やされたりしていますが、そうでない外来生物が増え、生態系を脅かしたり、人の生命・身体に危険があったり、農林水産業への打撃が大きいと駆除すべき外来生物として指定される可能性があります。
外来生物も在来種も同じ生き物であり、人間の活動により連れてこられた外来生物が「ワルモノ」ではありません。外来生物のことを考えるときには、外国からの輸入に頼っている私たちの生活についても考えてみましょう。
また、人間が育てていた生き物を飼えなくなったからといって捨てることは絶対にしてはいけません。不注意で逃げ出してしまうこともあるので、生き物を育てるときには死ぬまで面倒を見るという覚悟と責任が必要です。アライグマなどは捨てられたり、逃げられたりしたものが増えてしまい、大きな問題になっています。
自然に親しむ行事として行われるコイやホタルなどの生き物の放流などにも注意が必要です。別の地域から同じ生き物を持ち込むと、遺伝的に近いので簡単に交雑して地域固有の種が失われてしまうかもしれません。もともとその場所にいなかった生き物を放つことで、昔からいた生き物のエサをとられたり稚魚を食べられたりするなど、他の生き物の生きる環境を大きく変えてしまう恐れがあります。
外来種による被害を防ぐには?
外来種による被害を防ぐには、外来種被害予防三原則を皆さんが守ることが大切です。
入れない
・悪影響を及ぼすかもしれない外来種を日本へ入れない。
捨てない
・飼養・栽培している外来種を野外へ逃がしたり捨てたりしない。
拡げない
・既に野外にいる外来種を他の地域に生きたまま持ち出さない。
特定外来生物に指定されると?
特定外来生物に指定された生き物については次のことが規制されます。
・飼育、栽培、保管及び運搬することが原則禁止されます。
・輸入することが原則禁止されます。
・野外へ放つ、植える及びまくことが原則禁止されます。
・許可を受けて飼っている人が許可を持っていない人に譲ったり、販売したりすることが禁止されます。
特定外来生物を見つけたら?
特定外来生物と思われる生き物を見つけたら次のことに注意してください。
・特定外来生物は、生きたまま許可なく持って帰ることができないので捕まえないで下さい。
・特定外来生物を駆除した場合や駆除したい場合は市へ相談してください。
・特定外来生物を捕まえてしまった場合でも、その場ですぐに放すのであれば問題ありません。
・ただし、場所によってはその場で離すことが禁止されている場合があります。
リンク
環境省の外来種や生物多様性についてのホームページはこちらから
・日本の外来種対策について
・みんなで学ぶみんなで守る生物多様性について
岐阜県の外来種や生物多様性についてのホームページはこちらから
・岐阜県の外来生物や生物多様性の取り組みについて