更新日:2021年7月21日
市・県民税の所得控除とは
所得控除は、納税者の扶養状況や病気、災害などによる出費があるかどうかなど、その納税者の実情に応じた税負担を求めるために所得金額から差し引くことになっている控除の総称です。
所得控除には、医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除、障害者控除、扶養控除、基礎控除などがあります。
市・県民税と所得税では控除の種類は概ね同じですが、税金の性格上の理由から、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除及び小規模企業共済等掛金控除以外については控除額が低くなっています。
市・県民税の所得控除について
雑損控除
雑損控除とは、納税義務者又は生計を一にする配偶者やその他の親族の方(本人以外は所得が48万円以下の方のみ)が災害、盗難又は横領によって生活用資産などに損害を受けた時(詐欺や強迫によるものは含みません)に、以下の計算式で求めた金額を所得から控除するものです。
計算方法
次の1または2のいずれか多い方の金額
- (損失(時価)の金額-保険等での補てん額)-(総所得金額の10%相当額)
- (災害関連支出金額-保険等での補てん額)-5万円
災害関連支出金額とは災害等に関連して住宅家財等の取壊しや除去にかかった費用です。
申告の際に添付または提示する書類など
- 災害関連支出の金額(盗難、横領に関する支出金額を含む)の領収書
医療費控除
医療費控除とは、自己又は生計を一にする配偶者やその他の親族の方のために医療費を払った場合は、以下の計算式で求めた金額を所得から控除するものです。
なお、医療費控除の上限は200万円となります。また、医療費控除の主な可否ついては下表のとおりです。
医療費控除の対象になるもの
- 医師、歯科医師による診療や治療の対価
- 治療のためのあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術の対価
- 助産師による分べんの介助の対価
- 医師等による一定の特定保健指導の対価
- 平成24年4月1日以後に支払った介護福祉士等による喀痰吸引等の対価
- 保健師や看護士、准看護師による療養上の世話の対価
- 治療や療養に必要な医薬品の購入の対価
- 病院、診療所又は助産所などへ収容されるための人的役務の提供の対価
- 以下の費用で医師等の診療、治療などを受けるために直接必要なもの
- 通院費用(原則公共交通機関)、病室代や食事代、医療用器具の購入代や賃借料の費用で通常必要なもの
- 松葉づえ、義歯、補聴器などの購入費用
- 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により地方公共団体に支払う費用のうち、医師などの診療費またはa、bに該当するもの
- おむつ使用証明書が発行されている場合のおむつ代
- ストマ用装具使用証明書が発行されている場合のストマ用装具代
- 温泉療養証明書が発行されている場合のクアハウス(厚生労働大臣認定に限る)利用料
など
医療費控除の対象にならないもの
- 容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどの目的で支払った整形手術の費用
- 健康増進や疾病予防などのための医薬品の購入費
- 人間ドックなど健康診断のための費用
(健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続き治療を受けた場合を除く)
- 親族に支払う療養上の世話の費用
- 日常生活の用を足すための眼鏡、義手、義足、松葉づえ、補聴器などの購入費用
など
計算方法
(その年に支払った医療費合計-保険等で補填される金額)-(10万円またはその年の総所得金額の合計の5%の小さい額)=医療費控除
申告の際に添付または提示する書類など
- 医療費の領収書(提出・提示される前に合計をしておいてください)
医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)について
- 平成29年分所得税(平成30年度市県民税)から医療費控除の特例の申告が可能となりました。詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。
社会保険料控除
社会保険料控除とは、自己又は生計を一にする配偶者やその他の親族の方が負担すべき社会保険料を支払った場合、または給与や年金等から差し引かれたりした場合は、その支払った金額が全て所得から控除できます。
なお申告される方以外の方の公的年金等から、直接差し引かれている介護保険料や後期高齢者医療の保険料は、申告者の控除対象にはなりませんのでご注意ください。社会保険料控除の対象となる保険料の主なものは以下のとおりです。
社会保険料控除の対象となる社会保険
- 健康保険の保険料
- 国民健康保険料(税)
- 後期高齢者医療制度の保険料
- 介護保険料
- 雇用保険料
- 国民年金保険料と国民年金基金の掛金
- 農業者年金の保険料
- 厚生年金保険料と厚生年金基金の掛金
- 公務員共済組合の掛金など
計算方法
その年に支払った社会保険料の合計=社会保険料控除
申告の際に添付または提示する書類など
- 国民年金や国民年金基金の掛金を支払った場合は支払証明書 (年末調整で控除されたものは不要)
- 上記以外のものについては支払い金額がわかるもの(通帳や支払い金額のお知らせなど)
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済法規定の共済契約による掛金や心身障害者扶養共済の掛金などを支払ったり、給与や年金等から差し引かれたりした場合は、その支払った金額が全て所得から控除できます。
計算方法
その年に支払った小規模企業共済等掛金の合計=小規模企業共済等掛金控除
申告の際に添付または提示する書類など
- 小規模企業共済等掛金を支払った場合は支払い証明書・領収書(年末調整済みのものを除く)
生命保険料控除
生命保険料控除とは、生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を受取人を本人又は配偶者、親族として支払った場合は、その支払った金額を基に下記の計算した金額が所得から控除できます。
平成24年1月1日以降に締結した保険契約等に係る保険料と平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料では、生命保険料控除の取扱いが異なります。
(1)新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく控除額
計算方法(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく(1)新一般生命保険料、(2)介護医療保険料、(3)新個人年金保険料の控除額は、同じ方法で別々で計算します。)
支払った保険料 |
控除額 |
~12,000円 |
支払った保険料と同額 |
12,001円~32,000円 |
支払った保険料×0.5+6,000円 |
32,001円~56,000円 |
支払った保険料×0.25+14,000円 |
56,001円~ |
28,000円 |
(2)旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額
計算方法(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく(4)旧一般生命保険料、(5)旧個人年金保険料の控除額は、同じ方法で別々で計算します。)
支払った保険料 |
控除額 |
~15,000円 |
支払った保険料と同額 |
15,001円~40,000円 |
支払った保険料×0.5+7,500円 |
40,001円~70,000円 |
支払った保険料×0.25+17,500円 |
70,001円~ |
35,000円 |
※新契約と旧契約の両方の控除を受ける場合【((1)と(4))または((3)と(5))のとき】は合計で最高28,000円です。
※一般と個人年金保険料が両方ある場合は、それぞれ上記で計算した金額の合計が控除額となります。控除の最高額は70,000円になります。
申告の際に添付または提示する書類など
- 保険料の控除証明書(年末調整済みのものを除く)
新契約または旧契約、一般または介護医療または個人年金の区別は、控除証明書に記載されています。
地震保険料控除
地震保険料控除とは、損害保険契約などで、自己や生計を一にする配偶者やその他の親族の方の所有する家屋や生活用動産を対象とし、地震等を原因とする損害を補てんする保険等の保険料を支払った場合に、その支払った保険料の合計額を所得から差し引くことができるものです。この控除の上限は25,000円となっています。
また、平成18年12月31日までに締結された(旧)長期損害保険料(保険期間が10年以上で満期返戻金のあるもの)について、平成19年1月1日以降に契約変更がされていないものについても、経過措置としてこの控除の対象となります。この保険料についての控除の上限は10,000円となっています。
地震保険料と(旧)長期損害保険料が両方ある場合はその合計額が控除額となり、上限は25,000円となっています。それぞれの計算方法は下記のとおりです。
計算方法
地震保険料の計算方法
支払った保険料 |
控除額 |
~50,000円 |
支払った保険料×0.5 |
50,001円~ |
25,000円 |
(旧)長期保険料の計算方法
支払った保険料 |
控除額 |
~5,000円 |
支払った保険料と同額 |
5,001円~15,000円 |
支払った保険料×0.5+2,500円 |
15,001円~ |
10,000円 |
※地震保険料控除の注意点
一つの保険契約について地震保険料と(旧)長期保険料の二つの内容が含まれている場合は、その内のどちらかの保険料しか控除対象となりません。
申告の際に添付または提示する書類など
- 地震保険料と(旧)長期保険料それぞれの控除証明書(年末調整済みのものを除く)
勤労学生控除
勤労学生控除とは、前年の12月31日の現況で本人が勤労学生に該当する場合、所得から控除できるものです。
勤労学生に該当するかどうかは下記の条件を全て満たす必要があります。
勤労学生の範囲
- 自己の勤労に基づく給与所得等(事業、雑所得など)がある方
- 合計所得金額が75万円以下の方
- 合計所得金額のうち給与所得以外の所得が10万円以下の方
- 以下に掲げる生徒または児童、学生の方
- 学校教育法第1条に規定する学校の学生、生徒または児童
- 国や地方公共団体又は私立学校法第3条に規定される学校法人、私立専修学校等またはこれらに準じる学校の生徒
- 職業訓練法人の行う認定職業訓練を受け、一定の課程を履修している学生
控除金額
勤労学生に該当する場合・・・26万円
申告の際に添付または提示する書類など
- 上記b又はcに該当する場合は、学校から交付される証明書(年末調整で申請済みの場合を除く)
障害者控除
障害者控除とは、前年の12月31日の現況で自己または控除対象配偶者や扶養親族のなかで障害者の方がいる場合、その障害者1人につきその障害の程度に応じて決められた金額を差し引くことができるものです。
障害の程度に応じて普通障害者、特別障害者に区分されています。控除の金額、区分の方法等については下記のとおりです。
障害者の区分 |
障害の程度 |
控除額 |
普通障害者 |
- 身体障害者障害者手帳3級から6級
- 知的障害者療育手帳B1又はB2
- 精神障害者福祉手帳2級又は3級
- 要介護認定要介護1から3 (65歳以上)
|
26万円 |
特別障害者 |
- 身体障害者障害者手帳1級又は2級
- 知的障害者療育手帳A1又はA2
- 精神障害者福祉手帳1級
- 要介護認定要介護4又は5 (65歳以上)
|
30万円 |
同居特別障害者 |
特別障害者と同居している場合 |
53万円 |
申告の際に添付または提示する書類など
- 各障害者手帳(要介護認定の方は市町村発行の『障害者控除対象者認定書』)
ひとり親・寡婦控除
ひとり親控除
ひとり親控除は、課税される前年の12月31日の現況で婚姻歴に関わらず、総所得金額等が48万円以下である生計を同じとする子(※1)を有する単有者(所得500万円以下に)に適用されます。事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる方(※2)がいる場合は適用されません。
また、控除が適用される本人が合計所得金額500万円以下である場合に限られます。
寡婦控除
寡婦控除は、課税される前年の12月31日の現況で上記の「ひとり親」に該当しない方で、夫と死別した後に婚姻していない方または夫が生死不明等の方や夫と離別した後に婚姻していない方で扶養親族(合計所得金額48万円以下)を有する方に適用されます。事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる方(※2)がいる場合は適用されません。
また、控除が適用される本人が合計所得金額500万円以下である場合に限られます。
(※1)生計を一にする子のうち、他の納税者の同一生計配偶者や扶養親族とされている方は除きます。
(※2)控除が適用される本人(以下、本人)が世帯主の場合は、住民票の続柄に「夫(未届)」などと記載されている方をいいます。本人が世帯主でない場合で、あなたの住民票の続柄が世帯主の「妻(未届)」などと記載されている場合は、その世帯主の方をいいます。
控除金額
- ひとり親であるときは30万円
- 寡婦であるときは26万円
理由
|
本人の
合計所得金額 |
扶養の状況 |
控除額 |
区分 |
死別
生死不明
離別
(未婚の場合を含む)
|
500万円以下
|
子
|
30万円 |
ひとり親 |
扶養親族 |
26万円 |
寡婦 |
死別
(事実婚の配偶者は除く)
|
要件なし
|
申告の際に添付または提示する書類など
配偶者控除
配偶者控除とは、前年の12月31日の現況で本人(納税義務者)に控除の対象となる配偶者がいる場合に、その配偶者の年齢や状況に応じて所得から一定の金額を控除するものです。控除額は、本人(納税義務者)の合計所得金額によって控除額が異なります。(下記表を参照)
なお、配偶者の合計所得金額が48万円を超え133万円以下の場合は配偶者特別控除の適用となる場合があります。(詳細は後述参照)
※控除対象配偶者は、納税義務者の夫または妻であって、生計を一つにしており、前年の合計所得金額が48万円以下の方をいいます。
以下に該当する場合は配偶者控除の対象になりません
- 夫または妻が内縁関係である場合
-
納税義務者が青色事業専従者や事業専従者として配偶者に対して給与を支払っている場合。
控除額について
配偶者の年齢
(前年12月31日の現況)
|
本人の合計所得金額
(給与収入のみの方の収入目安)
|
900万円以下
(1,095万円以下)
|
900万円超え
950万円以下
(1,095万円超え
1,145万円以下)
|
950万円超え
1,000万円以下
(1,145万円超え
1,195万円以下)
|
70歳未満 |
33万円 |
22万円 |
11万円 |
70歳以上 |
38万円 |
26万円 |
13万円 |
申告の際に添付または提示する書類など
- 配偶者が障害者の場合はそれが確認できるもの(障害者控除を参照)
配偶者特別控除
配偶者の前年の合計所得金額が48万円を超えるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。
配偶者特別控除を受けるための要件
(1)控除を受ける人の合計所得が1,000万円以下であること。
(2)配偶者が次の要件すべてに該当すること。
・民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
・控除を受ける人と生計を一にしていること。
・青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
・他の人の扶養親族になっていないこと。
・年間の合計所得金額が48万円超133万円以下。(平成30年分所得税(平成31年度市県民税)は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下。平成29年分所得税(平成30年度市県民税)以前は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超76万円以下)であること。
控除額について
配偶者の
合計所得金額
(前年中)
|
配偶者の
給与収入目安
(前年中)
※給与所得のみの場合
|
本人の合計所得金額
(給与収入のみの方の収入目安)
|
900万円以下
(1,095万円以下)
|
900万円超
950万円以下
(1,095万円超
1,145万円以下)
|
950万円超
1,000万円以下
(1,145万円超
1,195万円以下)
|
480,001円から
1,000,000円
|
1,030,000円から
1,550,000円
|
33万円
|
22万円
|
11万円
|
1,000,001円から
1,050,000円
|
1,550,001円から
1,600,000円
|
31万円 |
21万円 |
1,050,001円から
1,100,000円
|
1,600,001円から
1,668,000円
|
26万円 |
18万円 |
9万円 |
1,100,001円から
1,150,000円
|
1,668,001円から
1,752,000円
|
21万円 |
14万円 |
7万円 |
1,150,001円から
1,200,000円
|
1,752,001円から
1,832,000円
|
16万円 |
11万円 |
6万円 |
1,200,001円から
1,250,000円
|
1,832,001円から
1,904,000円
|
11万円 |
8万円 |
4万円 |
1,250,001円から
1,300,000円
|
1,904,001円から
1,972,000円
|
6万円 |
4万円 |
2万円 |
1,300,001円から
1,330,000円
|
1,972,001円から
2,016,000円
|
3万円 |
2万円 |
1万円 |
1,330,001円から |
2,016,001円から |
0円 |
0円 |
0円 |
申告の際に添付または提示する書類など
扶養控除
扶養控除とは、前年の12月31日現在で生計を一つにする親族(配偶者を除く)で合計所得金額が48万円以下である方を扶養していることで受けられる控除です。
親族の年齢や状況等に応じて、扶養親族一人につき下表の控除が受けられます。
区分 |
控除金額 |
一般の被扶養者(16歳~18歳、23歳~69歳) |
33万円 |
特定(19歳~22歳)の被扶養者 |
45万円 |
老人(70歳以上)の被扶養者 |
38万円 |
同居老親等(70歳以上で同居の納税義務者又は配偶者の直系尊属)の被扶養者 |
45万円 |
申告の際に添付または提示する書類など
- 扶養親族が障害者の場合はそれが確認できるもの(障害者控除を参照)
基礎控除
基礎控除とは、合計所得金額に応じて定められた基礎控除額を、所得金額から差し引くことができる控除です。
但し、合計所得金額が2,500万円を超える場合は適用できません。
合計所得金額 |
基礎控除額 |
2,400万円以下 |
43万円 |
2,400万円超2,450万円以下 |
29万円 |
2,450万円超2,500万円以下 |
15万円 |
2,500万円超 |
0円 |
所得金額調整控除
下記に該当する場合は、給与所得から所得金額調整控除額が控除されます。
(1)給与等の収入金額が850万円を超え、次の各項目のいずれかに該当する場合(租税特別措置法第41条の3の3第1項)
- 本人が特別障害者に該当する。
- 年齢23歳未満の扶養親族を有する。
- 特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する。
(1)の場合の所得金額調整控除額=(給与等の収入額(1,000万円を超える場合は1,000万円)-850万円)×10%
(2)給与所得控除額の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額があり、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合(租税特別措置法第41条の3の3第2項)
(注意)(1)の控除の適用がある場合は、(1)の控除後の金額から控除します。
(2)の場合の所得金額調整控除額=(給与所得控除後の給与等の金額(10万円を超える場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万円をこえる場合は10万円))-10万円