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サイコクヒメコウホネ保全

更新日:2024年3月15日

サイコクヒメコウホネ保全とは?

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サイコクヒメコウホネは東帷子薬王寺の境内にある池(通称「弁天池」)に元々生育していた水草で、5~10月にかけてかわいらしい黄色い花を咲かせて、周辺を散策する人たちの目を楽しませていました。

 しかし、平成26年ごろから急に数が減り、翌年にはついに花が咲きませんでした。幸い、数が減り始めた頃に近くの休耕田に一部の株を移植していたため、全滅は避けられましたが、弁天池からは姿を消してしまいました。そこで、薬王寺の周辺の清掃活動をしているボランティア団体「鳩吹山を緑にする会」と環境パートナーシップ・可児は協力して、弁天池にサイコクヒメコウホネを復活させようと平成27年から活動を始めました。

 

 サイコクヒメコウホネは環境省及び岐阜県のレッドリスト/レッドデータブックに記載はないものの、他の自治体では準絶滅危惧種~絶滅危惧1.類に指定されています。その貴重な在来植物が可児市にもあり、保全活動に努めています。

保全活動

 保全活動としては、まず最初に専門家による池の環境調査から始まりました。毎年、岐阜県から生態系保全の補助金を受けながら、池の周辺の環境改善や、害虫駆除、防護柵の設置などを行う一方で、大学との協同で再生のための研究も続けてきました。研究を続ける中で、今までヒメコウホネと考えられていたこの植物は、「サイコクヒメコウホネ」という別種類であったということもわかりました。平成31年度には弁天池への移植も始まり、いよいよ復活に向けて活動が本格化してきました。

 また、保全活動と同時に周辺の散策路を整備したり、保全活動に関する看板を設置するなど、いつかサイコクヒメコウホネの姿を皆さんに見ていただけるよう、啓発活動も続けています。

 

令和5年度活動

生育状況

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昨年度からのザリガニによる食害から保護した一部の株が開花しました。

地道な周辺整備活動により、弁天池の水質や日当たりなどの生育環境には問題ないことがわかりました。

生育を阻害する最大の原因はザリガニです。

 

生育状況の更なる改善とザリガニの駆除強化が課題です。

ザリガニ対策 ~石灰窒素の散布~

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ザリガニを駆除するために石灰窒素を散布しました。

散布した時期がザリガニの冬眠期間になるので、効果確認は春以降になります。

 

池の水抜いてみた

サイコクヒメコウホネの生育促進のため、池底に日光があたるよう池の水の抜きました。

 

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石灰窒素が下段の池に流用しないよう側溝工事をして、池の水を抜くことができました。

最大の目的はサイコクヒメコウホネの生育促進ですが、池干しには様々な効果があり水質改善や殺藻効果も期待できます。

サイコクヒメコウホネがたくさん育つよう引き続き見守っていきます。

 

鳩吹山を緑にする会 活動のようす

今年度もボランティア団体「鳩吹山を緑にする会」が様々な保全活動や啓発活動を実施しました。

ほんの一部ですがご紹介いたします。

 

周辺整備活動

豊かな里山の自然は人の手によって維持されます。

周辺の遊歩道の整備や、池の日当たりを遮る木々の伐採などを行っています。

遊歩道で気軽に散歩してはいかがでしょうか。

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啓発活動

環境楽習塾を薬王寺で開催し、一般の参加者と共にきれいに咲く大賀ハスを鑑賞しながら、自然と触れ合いました。

また里山の日や環境フェスタにも参加し、活動の紹介や里山で採れた竹を使ったおもちゃ作り体験などを開催しました。

 

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令和4年度活動

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令和4年度は、ため池内のザリガニの駆除や、泥の撤去、ため池周辺の散策ルートの整備を行いました。今年度移植したサイコクヒメコウホネの株は、ザリガニの被害を受けてしまいました。移植後の株の保護やザリガニの捕獲方法など、ザリガニの被害対策が今後の課題です。

 来年度は池干しのための底樋の設置や石灰窒素によるザリガニの駆除などを検討しているため、ザリガニ駆除の成果により、サイコクヒメコウホネが復活することが期待されます。

 

 近年は、周辺の整備作業の成果からため池周辺が明るくなり、散歩や野鳥の観察などで訪れる人も多くなっています。春にはツツジ、夏には大賀ハスなど様々な植物が観察できますので、ぜひ足を運んでみてください。