更新日:2016年2月25日
はじめに
平成28年度当初予算案をはじめとする、諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に関する所信を申し述べ、市民の皆さま、並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。
国において、一昨年から地方創生に取り組まれており、国の動きに合わせ地方公共団体においても、その動きが活発化してきています。
岐阜県においては、「清流の国ぎふ」創生総合戦略を策定されており、本市の観光拠点のひとつである花フェスタ記念公園については、観光資源としての魅力を高め、広域的な誘客を推進するための施設整備等を推進するとしています。
国の地方創生に先駆けて種々の施策・事業を進めてまいりました本市にとって、こうした全国的な動きは、追い風になるものであります。平成28年度予算案は、その動きに呼応しつつ、直面する市政運営の課題に対応できるよう編成いたしました。
基本方針と平成28年度予算
これまで、子育て支援、企業誘致、観光交流の推進、支え合いの仕組みづくりなどを進めてまいりました。それらの効果も、本市の住み良さのひとつの要因となってきたと考えます。平成20年から減少していた人口が、ここにきて微増に転じてきていることは、本市の潜在力が認められ、住みごこちの良さが広く認識されつつあるものと、手ごたえを感じております。
この手ごたえをより確かなものとしていくため、引き続き「住みごこち一番・可児」を目指してまいります。市の底力を引き出し、高めることで、「若い世代が住みたいと感じる魅力あるまちの創造」を、総合戦略や総合計画の施策・事業により、一層進めてまいります。
歳入の根幹である市税は、景気の横ばい状況や法人市民税の法人税割税率の引き下げにより、市民税が減収すると見込んでおり、固定資産税の新増築家屋分の増収はあるものの、全体として若干の減少を見込んでおります。歳出は、社会保障費が増加していきますが、合併特例債の積極的な活用により、可児駅前の子育て等空間施設の建設、土田渡多目的広場の整備、市道56号線等の道路整備を進めてまいります。
各種の財政指標から本市の財政状況は、健全性を維持しています。しかし、依然として厳しい状況に変わりはなく、将来世代に過度な負担を強いることはできません。それを前提としつつ、機を逸することなく、現在、そして将来の市民福祉向上へ骨太で着実な投資をするため、積極的な予算案を編成いたしました。
平成28年度可児市一般会計予算案は、前年度比28億1,000万円、9.8%増の314億1,000万円と過去最大の規模とし、特別会計、水道事業会計を合わせた予算総額は、前年度比36億9,020万円、6.6%増の592億2,400万円といたしました。
子育ての希望をかなえる
幸い本市では、出生数が年間800人を超える状況が保たれていますが、市民アンケートでは、実際の子どもの数が理想の産みたい子どもの数を、下回る結果が出ています。子育て世代を含め、若い世代を引き付ける魅力を高めていくことが、極めて重要であります。子どものライフステージに沿った、切れ目ない支援をしていく「マイナス10カ月から つなぐ まなぶ かかわる 子育て」を積極的に進めることで、安心して子育てできる環境を整え、子育ての希望をかなえてまいります。
期待が寄せられている可児駅前の子育て・健康・にぎわい空間施設の建設に、いよいよ着工いたします。併せて、地域全体で子育てに取り組む機運を高める取り組みも進めてまいります。
出産直後に高まる育児不安を軽減するための産前訪問や、情報発信ツールを活用し、子育て家庭とのつながりを強化してまいります。また、高まる保育ニーズに対応した受け皿を充実してまいります。
子どもたちは、可児市の未来に貢献できる人材であり、そして可児市の未来を託す財産であります。様々な経験や人との関わりを通し、豊かな心を育むとともに、ふるさと可児への誇りや愛着を醸成してまいります。
義務教育では、子どもたちの笑顔があふれる「笑顔の学校」を目指し、子どもたちの「困り感」の解消や、いじめ防止に引き続き取り組んでまいります。
美濃桃山陶を学ぶ茶道体験を学校で実施するとともに、昨年協定を締結したレッドランド市との間で、子どもたちの相互訪問を進めてまいります。
魅力と元気を引き出す
本市は、年間何百万人もが訪れる観光都市ではありません。しかし、市内の歴史、文化、自然といった地域資源には、大きな魅力があります。観光グランドデザインを本格稼動し、それぞれの地域資源に光をあて、磨き、内外に発信していくことで、交流人口の増加を目指してまいります。加えて、可児ブランドの創出と知名度向上を支援してまいります。
美濃桃山陶の聖地は、大萱古窯跡群の調査を実施していくとともに、荒川豊蔵居宅周辺整備を進めてまいります。
国指定史跡美濃金山城跡を中心とした市内の戦国山城を活用し、交流人口を増やすとともに、地域活動団体の育成を推進してまいります。
「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立していくことが、まちの活力につながります。安定した雇用は、市民の元気と生活の基盤となります。引き続き、企業誘致・立地を推進し、そのためにも必要な幹線道路の建設工事を進めてまいります。また、企業でのワーク・ライフ・バランスの取り組みを促進してまいります。
可児市で育った若者たちが、可児市で働き、住み続けていただくことを願っており、高校生と地元企業を結び付ける機会を充実してまいります。
さらに定住移住を推進するため、「しごと」「住まい」「暮らしやすさ」を「かに暮らし」としてパッケージした情報発信を、企業や関係団体と連携しながら進めてまいります。
高齢になっても安心な生活を送れる
高齢期を迎えても地域で元気に暮らすことは、市民共通の願いであります。その願いをかなえていくために、健康寿命を延ばし、地域の支え合い活動の活発化を図り、安心して暮らせる地域づくりを行ってまいります。
「簡単」に「健康」づくりができるK体操や、「歩こう可児302」を市民運動として、引き続き普及してまいります。
住民主体のサービスの創造を支援していくとともに、医療、介護、地域が連携して支える仕組みの構築を進めてまいります。
また、試行期間の最終年となる支え愛地域づくりモデル事業は、その事業効果を検証し、評価してまいります。
安全と安心を確保する
市民の皆さまの安全の確保、安心な生活のため、災害に備え地域の防災力を高め、強靭なまちを整備してまいります。
集中豪雨等による山崩れや河川氾濫から生命・財産を守るため、急傾斜地崩壊対策及び河川改良を引き続き実施してまいります。
有事の際には共助が重要になります。地域リーダーの養成、防災の技術・知識の向上、消防団機能の充実により、地域防災力の強化を進めてまいります。
道路、橋梁、水道、下水道のインフラは、点検及び適切な維持管理により長寿命化を図るとともに、計画的な整備、更新により耐震化も進めてまいります。
安全確保と良好な住環境を保つため、地域からの要望に応えながら、道路の新設・改良工事を進めてまいります。
誰もが安心して暮らすことができるよう、障がい者施設の整備を促進するとともに、多文化共生社会づくりを進めてまいります。
協働による行政運営を推進する
まちづくり、子育て支援、いじめ防止、高齢者の生活支援、健康増進、障がい者支援、多文化共生、防災・防犯、環境美化、文化・芸術・スポーツなど様々な方面において、自治会をはじめボランティア団体やNPO法人等に活動していただくことが、不可欠であります。
こうした「市民力」を原動力にして、高齢者の安気づくり、子育て世代の安心づくり、地域・経済の元気づくり、まちの安全づくりを進めてまいります。
また、公共施設について、可児市公共施設等マネジメント基本計画を策定いたします。併せて、市民の皆さまがより使いやすい公共施設とするため、これまで様々な理由で設けられていた公共施設の利用規制などを、ゼロベースで見直す市民委員会を立ち上げ、検討してまいります。
平成28年度は情報発信元年
本市は、これまでの長い歴史の中で、穏やかな自然に恵まれながら、文化、伝統、産業、そして人材が先人たちにより育まれ、高度経済成長期の人口急増を経て大きく成長してまいりました。
気候が温暖で、地震に比較的強く、住んで、働いて、子育てをして、ゆったりと余暇を楽しむことができ、そして、温かい人と人とのつながりがあるまちであります。また、市内には、高い技術力を有する製造業をはじめ、様々な分野の魅力ある企業・事業者も多く、まだまだ潜在力を有する魅力あるまちでもあります。
市長就任以来、こうした可児市の魅力の更なるブラッシュアップに取り組んでまいりました。そして、内外に情報発信できる段階へと進んでまいりました。
平成28年度は、この魅力を引き続き磨いていくとともに、今まで以上に情報発信に力を注いでいく、「かに暮らし情報発信元年」と位置づけ、新たなステージへとシフトアップしてまいります。
穏やかで生き生きと暮らすことができる可児市でのライフスタイル「住みごこち一番・可児」の一層の推進を目指してまいりますので、市民の皆さま、並びに議員各位のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の平成28年度の施政方針とさせていただきます。
添付ファイル
・平成28年度施政方針