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令和3年度 施政方針

更新日:2021年2月24日

令和3年度 施政方針

 

 令和3年度当初予算案をはじめとする、諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に関する所信を申し述べ、市民の皆様、並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 

 

 

令和3年度の基本方針

 

 はじめに、新型コロナウイルス感染症に対し、医療の最前線の現場で昼夜を問わず、命とくらしを守るために従事されている皆様に敬意を表しますとともに、心より感謝申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、国内外で感染拡大を続け、いまだに収束の兆しが見えません。本市は感染者数並びに10万人あたりの感染者数が、県内で上位となっています。また、外国籍市民の感染が市内感染者の約40%を占めています。2月21日時点の本市の感染状況は476人の方が陽性となり、10人の方がお亡くなりになりました。亡くなられた方には謹んで哀悼の意を表しますとともに、治療中の方に心からお見舞いを申し上げます。

 感染症の収束に向け、本市においてもワクチン接種に向けた接種場所の選定や医師・看護師の確保の調整、準備を進めているところです。可児医師会をはじめ、市内医療機関の皆様には、ご理解とご協力をいただいており、深く感謝申し上げますとともに、引き続きワクチン接種にご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 また、現在のところ、まず65歳以上の方に3月中旬を目途に接種券を郵送し、4月上旬の接種開始を目指します。それ以外の方は、4月下旬以降に順次お知らせできるよう進めていきます。ワクチン接種は、短期間で膨大な人数に接種をする前例のない事業です。準備が整い次第、ワクチン接種に関する情報を順次ご案内しますので、円滑な接種の実施にご理解とご協力をお願いします。

 とはいえ、ワクチンを待つばかりではなく、私たち一人ひとりが感染防止対策を意識しなければいけません。営業時間短縮に応諾し、適切な感染防止にご協力いただいている飲食店や公共施設などでは、クラスターは発生していません。多くの事業主や市民の皆様がマスクの着用やアルコール消毒などをはじめとした感染防止対策をしっかり実施していただいているおかげであると思います。今後も私たちは、常に感染の危険性を忘れることなく、身の回りに潜むウイルスを意識しながら、「新たな日常」を生き抜いていかなければなりません。引き続き、感染防止に最大限の配慮をお願いします。

 現在、新型コロナウイルス感染拡大により、市民生活や地域経済に様々な影響が出ています。

 国内の経済状況について、内閣府が1月に発表した月例経済報告によると、「新型コロナウイルス感染拡大の影響により、景気は依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」と報告されています。しかし、今後も再び感染が拡大するリスクがあり、世界経済や各国の動向にも注視が必要と考えます。

 市内で製造業に携わる皆様からは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により落ち込んだ売り上げが、徐々に回復傾向にあるものの先行きが不安であるとお聞きしています。また飲食業を中心とするサービス業の多くは、持続化給付金、家賃支援給付金などを受けてもなお、非常に厳しい状況にあるという声が届いています。

 こうした状況を踏まえ、市としては新型コロナウイルス感染症対策として、「感染拡大防止」「市民生活の安定化」「地域経済の回復」を重点に取り組んでいきます。地域経済の落ち込みによる個人や法人の市民税の減収や中小事業者の固定資産税などの軽減措置により、令和3年度予算の市税収入は、前年度比11億5,800万円、7.8%減の136億5,500万円と大幅な減額を見込んでおり、今後も厳しい財政状況になると予想しています。

 こうした厳しい状況ではありますが、いつ起きるかわからない自然災害に備え、安定的な市民サービスが継続でき、新しいニーズにも応えていける財政基盤を築いていかなければなりません。そのため引き続き市政経営の指針である可児市政経営計画に「地域・経済の元気づくり」を最重点方針として位置づけ取り組んでいきます。また、企業誘致とシティプロモーションを最重点施策として取り組むとともに、財政状況に応じた必要な見直しも進めます。市政経営計画に位置付けられた事業を基本としながらも、更なる事業選択を行うとともに、経常事業についてもできる限りの縮減をした令和3年度の可児市一般会計予算案は、前年度比21億7,000万円、6.9%減の293億8,000万円としました。

  特別会計及び企業会計を合わせた予算総額は、前年度比36億7,480万円、6.0%減の575億8,870万円となります。

 

 

 

高齢者の安気づくり

 

 本市は、市制施行以前の昭和40年代後半から人口が急増し、ピーク時の昭和50年代後半には、年間4,000人を超える方が転入し、人口増加率が全国1位の町となりました。そのころ7%台だった高齢化率は、令和2年10月に27.8%となり、日本で有数の若い町であった本市も現在は高齢化が急速に進んでいます。総務省統計局の推計人口による同年9月の全国の高齢化率28.7%と比較しても当市の高齢化率は、全国との差が急速に縮まっています。

 また、平成27年国勢調査によると全世帯に占める高齢単身世帯及び高齢夫婦世帯の割合が22.3%と増加しており、コロナ禍においても市内の高齢者を孤立させないよう、「高齢者孤立防止事業」を継続し、必要な情報を提供したり気軽に相談ができる体制を整えていきます。

 さらに、高齢になっても住み慣れた地域でいつまでも暮らし続けられるよう医療・介護・生活などの支援を一体的に行う「地域包括ケアシステム」の推進に引き続き取り組みます。市内の日常生活圏域ごとに配置された地域支え合いコーディネーターと地域包括支援センターが、地域の日常的な課題や高齢者の困りごとを情報共有するなど、高齢者の総合的な相談窓口としての機能充実を図ります。

 なお、地域住民が自ら行うサロン活動や、生活支援を行う地域の支え合い活動の活性化支援も引き続き行っていきます。

 また、高齢者の生活の質の向上を目指し、感染防止対策をした上での「まちかど運動教室」や、理学療法士などの専門職を派遣する教室の開催など、介護予防を充実していきます。

 認知症高齢者は、年々増加しています。引き続き、認知症予防教室や岐阜医療科学大学と連携した相談会や公開講座を開催していきます。さらに地域で認知症の方や家族の方を支えるために認知症サポーター養成講座のステップアップ講座や「認知症カフェ」を開催します。認知症の方や家族の方の社会参加の促進や専門職などとの情報共有を図る場の醸成につなげていきます。

 

 

 

子育て世代の安心づくり

 

 子育て健康プラザ・マーノの機能を十分に活用しながら、「子育て世代包括支援センター」、「こども応援センターぱあむ」を中心に支援を要する子育て家庭を早期に把握し、関係機関と連携して、引き続き切れ目ない子育て支援を推進します。ひろみ保育園に子育て支援センターが新設され、市内の子育て支援拠点は9か所となります。子育て世代が、身近な場で相談、交流できるよう支援します。また、いじめの未然防止・早期発見など子どもが安心して生活できる環境づくりに取り組みます。

 学校教育においては、「笑顔の学校」づくりを進め、児童生徒の成長を支えていきます。新型コロナウイルスの影響に対し、感染防止対策やカリキュラム及び行事の見直しなど、必要な対応を実施しておりますが、健康チェックシート、検温による健康状況の把握など、引き続き感染防止に取り組んでいきます。

 国が進める「GIGAスクール構想」を踏まえ、令和2年度から各小中学校においてWi-Fi環境の整備や、児童生徒用1人1台タブレットの配備、普通教室にプロジェクターの導入を進めており、感染により長期の休みが生じた場合の活用だけでなく、授業において視覚的な教材や動画等を利用して子どもたちの理解を深めるなどICTを活用した学習活動をさらに推進するほか、各小中学校の特別教室にエアコンを整備します。

 また、令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、長期にわたり保育園・幼稚園の休園や小中学校の休校などの措置がとられるなど、お子様や保護者の皆様には、大きな不安の中、多大な負担を強いる状況となりました。しかし、保護者の皆様がお子様の健康に配慮した子育てをしていただいたおかげで、令和2年度のこども医療費が前年度に比べ大きく減少しており、その減少額を学校給食費に還元したいと考えています。

 さらに、令和2年度から実施している蘇南中学校大規模改造事業は、令和4年3月の完了を目指し、学習環境の改善を進めています。

 市内の外国籍児童生徒数は、これまで年々増加してきましたが、令和2年7月の752人をピークにほぼ横ばいに推移しています。しかし、依然児童生徒全体の9%を超えており、外国籍児童生徒のいる学校に通訳サポーターを追加配置して、外国籍児童生徒の就学や学習に対する支援を行っていきます。

 兼山小学校では、児童数の減少により今後一部の学年で複式学級になる可能性が出てまいりました。こうした状況を踏まえ、保護者の皆様の意向を確認しながら兼山小学校の児童にとってよりよい教育環境とは何かを検討していきます。

 

 

 

地域・経済の元気づくり

 

 今後、本市は感染対策の強化と社会活動の維持の両立を図り、地域経済の回復を速やかに進めるよう取り組んでいかなければなりません。

 飲食をはじめとした市内店舗を応援するプレミアム付きクーポンを発行して、事業継続の支援を行います。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を克服するため、国または県による持続化補助金への上乗せ補助金や、広報・宣伝する経費の一部補助金、商工会議所による専門家派遣事業への経費の一部助成金などを通じ、地域経済の回復を後押しします。

 本市の将来に向け、最重点施策として位置付けている企業誘致では、可児御嵩インターチェンジ工業団地の開発を令和2年度から本格始動させており、同年で計画全体の約95%の用地買収が完了しています。開発予定地の発掘調査を継続するとともに令和3年度はアプローチ道路の整備などを行います。可児工業団地、二野工業団地、可児柿田流通・工業団地とともに新たな雇用の場を創出することで、定住・移住を促進し、将来的に安定した税収の確保を目指します。

 また、令和3年度には、かぐや姫の散歩道のある木曽川渡し場遊歩道と一体利用が期待される土田渡多目的広場の整備が完了する予定です。多くの方に楽しんでいただきたいと思います。さらにNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送を契機とした、ゆかりの地のPR企画や戦国山城をはじめとした地域資源の磨き上げ、SNSなどによる情報発信も積極的に実施して、戦国山城・武将観光への興味関心を盛り上げていきます。

 木曽川中流域において、木曽川を管理する国土交通省木曽川上流河川事務所が中心となり、岐阜県、愛知県の関係市町が連携し、既存の資源を最大限に活用した流域の魅力の向上などを目指し、「木曽川中流域かわまちづくり協議会」を発足しています。県においても「木曽川中流域観光振興プロジェクト」として、美濃加茂市、各務原市、可児市、坂祝町に犬山市を加えた5市町を一帯とする木曽川中流域の観光資源の掘り起こしを予定しており、本市においても県及び関係市町と連携して木曽川中流域の観光資源の活用を検討していきます。

 一方、新型コロナウイルス感染拡大のため、延期となりました「第33回全国健康福祉祭ぎふ大会ねんりんピック岐阜2021」が、10月30日から11月2日まで開催されます。また、同じく延期となった「国際陶磁器フェスティバル美濃」では、「美濃桃山陶の聖地」をPRしていきます。

 市民スポーツの拠点である可児市運動公園を、人工芝の敷設により健康づくりや多世代交流など多目的な利用ができる公園として改修します。KYBスタジアムやテニスコートなどを含めた総合的なスポーツ・健康づくり公園として整備を進めます。

 また、平成17年から事業を進めてまいりました可児駅前線道路は、令和3年度の供用開始を予定しており、駅周辺への利便性が向上します。

 少子高齢化社会の進展などにより様々な影響が生じている市民活動への支援については、市と地域の協働事業の役割を見直すとともに自治会活動報償費及び各施策における支援制度を整理し、地域での自主的で積極的な課題解決に向けたあり方の検討を始めます。

 

 

 

まちの安全づくり

 

 これからの私たちは、新型コロナウイルス感染拡大の状況の中で、「新しい生活様式」を意識しながら安全で安心な社会生活を目指していかなければなりません。

 感染防止対策として、施設利用者の体調を確認するために公共施設にサーマルカメラの設置、アルコール消毒液及び飛沫防止のアクリル板の設置、確定申告会場の事前予約制や検診の少人数実施などの感染防止の徹底を図っていますが、引き続き感染防止対策を徹底していきます。

 国では、デジタル庁新設への準備が進められています。本市においては、総務部に情報企画室を設置し、行政手続きのオンライン化など、デジタル化に向けた取り組みを進めていきます。

 いつ発生してもおかしくない南海トラフ地震や近年頻発する集中豪雨などの災害を想定し、大規模な自然災害などに備え策定する可児市国土強靭化地域計画に基づき、地域の実状に応じた事業を総合的に実施していきます。水防訓練や防災訓練においては、被災時の感染防止対策に取り組み、新型コロナウイルス感染拡大下での大規模災害発生への備えに継続して取り組みます。そして自治会や自主防災組織などの地域防災力の向上を目指し、「可児市防災リーダー養成講座」の開催、わが家のハザードマップの作成支援を引き続き行います。

 集中豪雨などによる急傾斜地の崩壊や河川の氾濫を防ぐため、古瀬地区の急傾斜地崩壊対策事業や室原川の改修工事に向けた設計を行います。さらに、市民生活に欠かせない上水道施設の耐震化や下水道施設の修繕などを行い、業務の一層の効率化・健全化に努めていきます。

 近年、空き家などの増加が全国的な課題となっています。「第2期空家等対策計画」をスタートさせ、空き家などの適切な管理・有効活用の促進を図り、地域の生活環境の保全と活性化に取り組んでいきます。

 公共施設の改修や道路整備などの公共事業を計画的に進め、市民生活の安全・安心を確保するとともに、社会基盤の整備を通して地域経済の回復につなげます。

 また、誰もが安心して暮らすことができるよう、障がいのある方やその家族の皆様を支える自立支援や生活支援、生活困窮者への総合的な支援を引き続き実施していきます。

 さらに、市民生活に欠かせない「ささゆりクリーンパーク」については、稼働計画期間40年の半ばを過ぎており、可茂地区全体で新たなごみ処理施設のあり方の議論を始めていきたいと考えています。

 

 

 

むすび

 

 本市では、新型コロナウイルス感染症への対応として、令和2年度に9回にわたる補正予算を編成し、感染防止対策はもちろんのこと、感染症により影響を受けた市民生活や地域経済活動を支える施策、子育て世帯や子どもたちへの支援のため、「プレミアム付Kマネー」や「かに飯応援プロジェクト」、「かにっこ応援特別給付金事業」などを実施してきました。必要な対策については新年度予算と合わせ、切れ目なく進めてまいります。

 しかし、現状では新型コロナウイルス感染拡大が続いているとともにウイルスの変異株の出現など、いまだに収束が見えない状況です。引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止に取り組んでいきます。

 市民の皆様におかれましては一人ひとりが新型コロナウイルスを含めた感染症などに気を付けていただきました。その努力の結果として医療費が減少しています。気を付けることでさまざまな病気にも、り患しにくくなると思いますので、この新型コロナウイルス感染症を教訓にして、これからも感染防止と併せて健康づくりを続けていただきたいと思います。

 また、新型コロナウイルス感染拡大を契機に、これまでの都会への就職志向が見直されています。本市に住む若者が可児市の魅力や地元企業のことをよく知り、就職先の選択肢として考える機会を作り、地元で暮らしていただけるよう「わくわくWorkプロジェクト」を一層推進していきます。企業フェアの開催とともに、企業PR動画を作成するなど、コロナ禍に応じて地元企業を広くPRし、地域活性化につなげていきます。

 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が2月7日に大好評のうちに終了し、併せて花フェスタ記念公園で開催した「明智光秀博覧会2020in可児市」も2月14日に終了しました。一時閉館や入館時の感染防止対策など大変ご不便をおかけしましたが、34万人を超える方々にご来場いただき、明智光秀生誕の地として、全国に可児市の魅力を発信することができた1年でした。

 こうした機会をさらに活かすため、大河ドラマ館跡を活用し、「明智光秀のふるさと可児市」として可児市ファンを増やすための取り組みを進めていきます。  

 令和4年に、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送が予定されています。北条義時と朝廷が戦う「承久の乱」の合戦の場として、土田渡多目的広場周辺の木曽川河川敷一体がそのエリアだと言われており、再び本市が注目されることが期待されます。本年2月から放送が始まった「青天を衝け」、令和5年に放送される「どうする家康」の活用も含め、大河ドラマで得た経験やノウハウ、繋がりのできた地域や人のご縁を活かし、山城や美濃桃山陶の聖地などを含む可児市の魅力を積極的に全国へ発信し、シティプロモーションに力を入れていきます。

 ウイズコロナ・アフターコロナのもとで、刻々と変わる状況を把握、即応し、引き続き市民の皆様の健康と安全を第一に、『住みごこち一番・可児~安心、元気、楽しいまち~』の実現に向けて取り組んでまいります。

 市民の皆様におかれましては、新型コロナウイルスの収束が見えない状況の中ではありますが、今後の市政運営と本市発展のための各段のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 

添付ファイル

令和3年度 施政方針(pdf 467KB)