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令和2年度 施政方針

更新日:2020年2月21日

令和2年度(2020年度) 施政方針 


 令和2年度当初予算案をはじめとする、諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に関する所信を申し述べ、市民の皆様、並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。


令和2年度(2020年度)の基本方針 

  我が国の経済は、内閣府が1月に公表した月例経済報告では、「景気は、輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」と報告されています。また、経済産業省による中部地域の管内総合経済動向では、「改善しているものの、足踏みがみられ、生産と輸出の部門が引き続き弱含みとなっている」と報告されています。現に市内製造業に携わる皆さんからは、好況時の揺り戻しに入り、当面厳しい状況になるとの声をお聞きしており、製造業が集積する本市にとっては、厳しさが増していることがうかがえます。
 一方で人手不足は深刻であり、多治見公共職業安定所(ハローワーク多治見)管内による有効求人倍率は平成21年から上昇を続け、令和元年12月時点で2.30倍と全国平均を上回っていますが、昨年度実施された消費税率の引き上げによる消費者マインドの低下や、米中経済の先行き、中東地域を巡る情勢、新型肺炎など海外事象の不安要素もあり、我が国の経済状況は先行きが見通せない状況にあります。
 さらに、日本は平成20年をピークに人口が減少に転じており、本格的な少子高齢化、人口減少社会を今後、迎えることとなります。
 本市においては、住民基本台帳による人口は平成26年から微増傾向にあるものの、将来人口推計においては、令和12年に91,423人、令和22年に86,592人へと減少していくものとし、老年人口割合においても令和12年に31.8%、令和22年に34.2%と長期的には少子高齢化が進展していくものとしています。また、生産年齢人口割合も令和12年に55.4%、令和22年に51.7%へと下がり、働き手となる生産年齢人口も減少していきます。 
 本市の財政状況は、類似団体との比較や健全化判断比率などからみると健全な状態を維持しています。市税については家屋や店舗の新増築の伸びにより、固定資産税が増額し、令和2年度の市税収入は148億円、対前年比0.8%と微増を見込んでいますが、今後も大幅な増加は見込めない状況です。 
 一方、開館から17年経過した文化創造センターの大規模改修工事に加え、高度経済成長期以降、集中的に建設された地区センターや小中学校、道路、橋りょうなどの維持管理費や大規模改修の更新費用が今後大きな負担となってきます。
 また、少子高齢化を受けて増加していく社会保障費や、大型事業推進に伴う公債費が増加してきており、今後ますます財政を圧迫していくことが見込まれます。
 こうした本市を取り巻く厳しい状況から、今後の人口減少に伴って起こりうる事態に備え、長期的な視点を持ちつつ、喫緊の課題にも対応した施策の選択と集中により、限られた財源・資源を効果的に配分し、次世代に負担をかけない市政運営の指針として「可児市政経営計画」を策定しました。
 本計画では、「住みごこち一番・可児 ~安心、元気、楽しいまち~」の実現にむけて、引き続き4つの重点方針を定めるとともに令和2年度から令和5年度に重点的に取り組む事業を選択しました。その中でも「地域・経済の元気づくり」を最重点方針として位置付け、「企業誘致」と「観光振興」を最重点施策として重点的に取り組んでまいります。
 企業誘致につきましては、地域の要望を受け、いよいよ東海環状自動車道可児御嵩インターチェンジ隣接地の工業団地開発に本格着手します。製造業を中心とした優良な企業を積極的に誘致し、将来にわたって市税収入を確保するとともに新規雇用の創出などが見込まれます。可児御嵩インターチェンジ工業団地開発事業は、総事業費約47億円という市政はじまって以来の過去に経験のない大規模な民間型事業となりますが、本市の未来のためチャレンジしてまいります。
 観光振興につきましては、本市がその舞台の一つとなるNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送という千載一遇のチャンスを生かし、本市の魅力を多くの人に伝えていきます。観光グランドデザインに定めたとおり、まずは市民、特に将来世代が本市に愛着と誇りを持って住み続けたいと思う取り組み、そして、市外の人たちが来たくなる、住みたくなるような取り組みを進めてまいります。また、民間事業者のお力を得て市内観光施設や飲食などサービス業施設への誘客につなげていきます。
 新年度の予算編成につきましては、市民の皆様の要望などを受けた各部の事業要求額をまとめると、数十億の歳出超過となった中で、本市にとって効果が見込まれる事業なのか、多くの市民が必要とする事業なのかなど厳格に線引きし予算編成作業を進めてきました。
 以上を踏まえ、令和2年度の可児市一般会計予算案は、前年比1億円、0.3%増の315億5,000万円としました。
 特別会計及び企業会計を合わせた予算総額は、前年比約22億2,600万円、3.8%増の612億6,350万円となります。


高齢者の安気づくり 

高齢者人口が年々増加していく本市の人口構成の中で、高齢化率は昨年10月に27.19%となり、同年4月と比較しても0.16ポイント増加しています。昨年は、こうした超高齢社会において、民生児童委員の皆さんにご協力をいただきながら、高齢者宅を訪問しました。生活状況や困りごとなどの聞き取りや情報提供を通して、高齢者の皆さんが市や社会とつながりを持つことで孤独感を減らし安心感を持っていただける取り組みを行ってまいりました。多くの高齢者の方々からは、この訪問を待っていたというお声をいただきました。
 また、訪問させていただいた民生児童委員の皆さんや職員からは、直接お会いしてお話をさせていただくことが有意義であったという声を聴いています。来年度もできる限り、高齢者の方々にお会いできるよう本事業を継続してまいります。
 さらに高齢になっても住み慣れた地域で、暮らし続けられるように医療、介護、生活分野の支援を一体的に連携して高齢者を支えていく「地域包括ケアシステム」をより深めてまいります。
 帷子地域包括支援センターを地域の要望に応え、帷子地区センターに移転することに加え、日常生活圏域ごとに生活支援コーディネーターを配置し、より細かく高齢者を支援できる体制を整えます。
 また、高齢者が気軽に参加できる介護予防のための「まちかど運動教室」や岐阜医療科学大学と連携した講座を充実していきます。加えて認知症予防教室、認知症サポーター養成講座などによりボランティアを育成し、地域でのサロン活動などの支援を行います。
 第8期高齢者福祉計画及び介護保険事業計画を新たに策定し、高齢者が住み慣れた地域で最後まで安心して暮らし続けるための取り組みを示していくとともに計画期間中の事業量を推計し、介護保険制度を適切に運営してまいります。


子育て世代の安心づくり

子育て健康プラザ マーノを中心として、家庭・地域・関係機関が手を取り合い、妊娠期(マイナス10カ月)から連携し、適切かつ切れ目ない子育て支援を推進していきます。子育て世代が、地域や行政と関わりながら安心して子どもを育てられる環境と、楽しく安全に過ごすことができる居場所づくりのために地域子育て支援拠点を引き続き支援していきます。
 子育て健康プラザ マーノや児童センターの安全性を高め、子どもや保護者が安心して利用できるよう非常通報装置や防犯カメラを設置します。
 子どものいじめ防止の取り組みや支援が必要な子育て家庭の早期発見・対処に加え、子ども食堂など市民ボランティア活動を支援していきます。
 また、妊婦の健康管理を支援するため、妊婦健康診査費、妊婦歯科健康診査費の助成を行うとともに子どもを持ちたいという希望に寄り添うため、一般不妊治療費および特定不妊治療費の助成を行っていきます。さらに令和2年度から新たに聴覚障がいの早期発見と早期療育を目的に新生児聴覚検査に対して助成をはじめます。
 利用希望児童数が増加している学童保育については、高まる保育ニーズに対応するため、土田小学校キッズクラブの専用施設を新築します。
 また、学校教育においては、可児市教育大綱を実現するため第2期可児市教育振興基本計画を4月からスタートさせ、引き続き「笑顔の学校」づくりを推進し、子どもの成長を支えていきます。本市においては、教育に係る予算が多くなる中で、学校の情報化に対する補助金などの外部資金の拡充の機会をとらえ、児童生徒の情報活用能力の向上と教職員の負担軽減を図るため、国が進めるICTを活用した学習活動を推進してまいります。
 さらに令和2年度から2年間かけて蘇南中学校校舎大規模改造工事を実施し、学習環境を改善します。
 市内の外国籍児童生徒数が本年2月に745人と過去最高となりました。今後も増加が予想される外国籍児童生徒に対応するため、第2ばら教室KANIを開設し、円滑な学校生活がスタートできるよう就学支援を行ってまいります。


地域・経済の元気づくり

冒頭にお話ししました重点事業の他に、市内には、全国に誇れる技術を持つ企業や地域経済の担い手として活躍する企業が多くあります。若者に市内企業のよさを知ってもらうため、可児の企業魅力発見フェアの開催やワーク・ライフ・バランスに取り組む企業を応援する「可児わくわくWorkプロジェクト」を推進して若者が地元で就職し、暮らすことにつなげていきます。
 市内には歴史的にも魅力ある資源があります。昨年の全国山城サミットの成功により、全国的に知名度が向上した、市内にある山城を市民と協働で地域資源として磨き上げていきます。特に明智城跡では、人々が穏やかに暮らせる、争いのない時代を願った明智光秀を438年の時を経てブロンズ像として復活させ、毎年、全国の光秀ファンがこのブロンズ像のもとに集まり、市内各所へ訪れるような仕掛けをスタートしたいと考えています。
 さらに、可児市かわまちづくり基本計画に位置付けた木曽川左岸エリアの土田渡多目的広場については、様々な用途に利用できる広場を備え、誰もが楽しめる場所として、令和2年度の完成を目指します。これまでの地元の皆さまのご努力と関係各位の取り組みが開花することを期待しています。


まちの安全づくり

 昨年は、台風15・19号や令和元年8月の前線に伴う大雨、一昨年は北海道胆振東部地震など、日本各地で大きな被害が発生しました。頻発する集中豪雨や大地震などの大規模な自然災害に備え、地域の状況に応じた施策を実施するための国土強靭化地域計画を策定します。
 災害対策では、災害備蓄品を充実するとともに、防災情報の適切な発信、防災訓練の実施、避難行動要支援者名簿の更新などを行います。また、土砂災害や洪水、農業用ため池のハザードマップの作成や急傾斜地崩壊対策、河川改修を引き続き実施していきます。
 そのほか、地震に対する建築物の安全性に関する意識啓発、耐震改修の促進を図り、道路・橋りょうや水道・下水道を安全かつ継続的に維持するため、優先順位を定め計画的に点検や補修などを行い、災害に強いまちづくりを目指します。
 また、誰もが安心して暮らすことができるように障がいのある人の自立支援やその家族を支えるための生活支援を実施していくとともに、医療機関などと連携を図り生活困窮者への総合的な支援を行い、自立した生活への移行につなげていきます。
 「可児市成年後見制度利用促進基本計画」に基づき、成年後見制度の理解と利用促進のため本年1月に中核機関を設置し、関係機関との連携及び情報共有を図ってまいります。


むすび

 昨年は皇位継承が行われ、元号も「平成」から「令和」に代わり、新しい時代が幕を開けました。今年はオリンピックイヤーで、オリンピック精神の友情・連帯感・フェアプレーは、市民一人ひとりや地域に元気や活力をあたえてくれると思います。
 可児市においても、昨年、岐阜医療科学大学可児キャンパスに看護学部と助産学専攻科が開設され、令和2年4月からは薬学部が新設されます。将来的には1,000人を超える学生が学ぶことになり、市内の地域医療を支える人材の輩出と新たな元気と活力に繋がることを期待します。
 さらに令和4年には、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送が予定されています。北条義時と朝廷が戦う「承久の乱」の合戦の場は、土田渡多目的広場を含めた一帯といわれ、再び可児市が注目されることが期待されます。
 この機会を捉え、「住みごこち一番・可児~安心、元気、楽しいまち~」の実現を目指すとともに「可(か)能性のある児(こ)の育つまち」、「おだやかにくらせるまち」をキャッチフレーズに可児市のよさを全国の人に知っていただくようシティプロモーションに力を入れてまいります。
 市民の皆さま、並びに議員各位の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、令和2年度の施政方針とさせていただきます。


添付ファイル

・令和2年度 施政方針