更新日:2024年4月1日
令和5年、今地区の水田でスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の成貝と卵(塊)が確認されました。
スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)とは
来歴
南米原産の淡水性巻貝で、1980年代に食用として輸入されたものが、養殖場から逃げ出したり、野外に放棄されたりして、水田や農業用排水路に侵入、野生化しました。
特徴
成貝
大型の巻貝で殻高概ね3cm程度ですが、5cm以上になる個体も。殻色は黄褐色や黒褐色で縞模様があります。1対の長い触覚を備えています。

○スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の成貝
(写真提供:岐阜県農産園芸課)
卵(塊)
直径約2mmの球形でピンク色をしており、数十から数百からなる卵塊として水面より高い位置(水路や稲、雑草の茎等)に産み付けられます。2~3週間でう化し、2か月程度で成貝になり、繁殖を始めます。

○スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の卵塊
(写真提供:岐阜県農産園芸課)
生態
繁殖力が強く、雑食性でやわらかい葉を好んで食べるため、苗を移植後の水田(田植え後3週間程度まで)に大きな被害をもたらします。亜熱帯生物のため、寒さに弱いですが、雑草の下や土中に潜った個体は越冬し、水田に水が入る時期になると活動を再開します。
※成貝は人体に有害な寄生虫(広東住血線虫)がいる場合があり、卵内部には神経系の毒があるので、素手では扱わないよう注意しましょう。(素手で触った場合は、石鹸等でよく手を洗います。)
防除対策について
スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は食害を引き起こし、農業や生態系に悪い影響を及ぼす恐れのある生物です。その防除は、一部の水田で行うだけでなく、水路や農道でつながっている周辺の田畑の耕作者が連携・協力して、一体的に取り組むことが効果的です。有効な防除対策は、時期や場所によって異なりますので、以下を参照してください。
秋冬の対策
秋期の石灰窒素の散布
水温が17℃以下の時期に、殺貝効果のある石灰窒素を散布します。
冬期の耕うん
土壌が乾燥して固い時期(1~2月)に、土壌を細かく砕くように耕うんします。成貝の物理的な破砕を行うと共に、厳寒期の寒風にさらします。
冬期の水路の泥上げ
殺貝効果が高まる厳寒期(1~2月)に、越冬場所をなくし、越冬個体を寒風にさらすため水路の泥上げを行います。
春夏の対策
田植え前の石灰窒素の散布
水温が17℃以上の時期に、殺貝効果のある石灰窒素を散布します。
水口網の設置
水路等で越冬した貝の侵入を防止するために、取水口・排水口に9mm目合い程度のネットや金属網を設置します。
田植え時の薬剤散布
貝の発生状況に応じて、田植え時に薬剤を全面散布します。貝が集まりやすい深水部分への重点的な散布も効果的です。
田植え後の浅水管理
田植え後3週間程度の間、水深を3cm以下に管理することで、貝の活動が抑制され、被害を抑えることができます。
成貝発見時の捕殺
ほ場、用排水路等で成貝を発見した場合は、必ず捕殺を行ってください。
卵塊の除去
卵塊は水中ではう化できないので発見時に水中に落とすか、拡散を防ぐためにつぶしましょう。
関連ホームページ(リンク)
岐阜県
「ジャンボタニシの被害対策について」(外部サイト)
「ジャンボタニシ被害対策マニュアル(第2版)」 (外部サイト)
農林水産省
「スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害防止対策について」(外部サイト)
環境省
「防除に関する手引き(防除マニュアル)」(外部サイト)