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令和4年度 施政方針

更新日:2022年2月25日

令和4年度 施政方針

 令和4年度当初予算案をはじめとする、諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に関する所信を申し述べ、市民の皆様、並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。

令和4年度の基本方針

 はじめに、新型コロナウイルス感染症については、依然「第6波」の終息が見えない中、社会機能への影響や医療現場のひっ迫など、引き続き予断を許さない状況です。
 本市の新型コロナウイルス感染症ワクチン接種については、2回目の接種を終了した方が85%を超え、ワクチン接種を希望する市民のほとんどが接種を終えました。2月から3回目のワクチン接種を開始し、65歳以上の方を対象に、ご自身の予約を不要とし接種の日時や場所を市が指定する「おまかせ先行予約」を実施したところ、多くの方にご利用いただけました。これまで順調に進んできているのも市民の皆さんをはじめ、可児医師会や医療関係者、福祉関係者、事業者の皆さんのご協力の賜物であると心から感謝申し上げます。
 また、5歳から11歳の子どもに対する新型コロナウイルスワクチンの接種が3月から始まります。保護者からの不安の声がありますが、これも皆様のご協力を得て希望される方への接種をスムーズに進めてまいります。また、外国籍市民の方の感染が多発したことから、外国籍市民との相互理解における新たな課題が見つかりました。これを機に(仮称)外国籍市民キーパーソン会議を設置するなど、新型コロナウイルス感染症の課題に限らず幅広い分野で相互理解を深めてまいりたいと考えております。
 さて、本年は市制施行40周年にあたります。「#(ハッシュタグ)可児市40 ~10年後につなげよう、市民の笑顔~」をテーマに市民、事業者、団体の皆さんが、これまでを振り返り、10年後への更なる成長に向けて取り組んでいただけるような年にしたいと思います。
 テーマにもあります「#可児市40」という40周年の合言葉を市民、事業者、団体等がそれぞれSNSなどを使って情報発信し、様々な目的をもって投稿することで、これまで市政に触れる機会の少なかった人にも市政に参加いただき、新しいつながりが生まれる場となることを願っています。

 また、市制40周年を記念してプレミアム率40%を付与したKマネーを市民全員に渡る規模である10万冊発行します。これは先に申し上げたような市制40周年の取り組みを市民の皆さまと一緒に盛り上げていきたいという目的で実施するものです。
 国は令和3年9月にデジタル庁を設置し、デジタルトランスフォーメーションを進めており、制度や行政の横断的な見直しを図っています。本市においては、デジタル技術を活用し、行政手続きのオンライン化を進め、市民の利便性向上を図るとともに、職員一人ひとりがDXデザイナーとしての意識を持って、効率的な事務処理ができるよう業務の最適化を進めていきます。
 また、2050年カーボンニュートラル及び2030年度温室効果ガス46%排出削減の実現に向けた世界及び国内の動向を踏まえ、本市においても「可児市地球温暖化対策実行計画」の見直しを行います。市はプラグインハイブリッドカーの導入や照明器具のLED化を進めるとともに、市民、事業者と連携して脱炭素化推進への取り組みを積極的に進めてまいります。
 さて、国内の経済状況については、内閣府が1月に発表した月例経済報告によると、今後も感染症による影響や原材料価格の動向によるリスクがあり、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があるものの「新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きがみられる」と報告されています。
 市内の製造業に携わる皆さんからは、回復の兆しがあった経営状況が、オミクロン株の感染急拡大や半導体の供給不足などにより、先行きが不透明になっているとお聞きしています。飲食業を中心とするサービス業については、人流の減少によって、厳しい経営状況にあると認識しています。
 こうした状況ですが、新年度予算では、市税収入が増加に転じ、前年度比4.3%5億8,100万円の増額を見込んでいますが、一般会計予算案全体の40.0%を占める民生費は、前年度比6億4,050万円増の119億3,954万円となり、社会保障に係る費用は大きく増加しています。なお、これまでの社会保障費の増加状況は、令和2年度決算額と10年前の平成22年度決算額とを比較すると約1.4倍、30億2,950万円も増額しています。団塊の世代が後期高齢者世代となり、一層の高齢化の進展によって、今後も社会保障費の増加が見込まれています。また、地区センターをはじめとする公共施設や、道路、上下水道施設といったインフラなど、これまで整備してきた施設の維持管理費や大規模修繕、改修の費用などの増大により、本市の財政状況は今後もこの厳しさが続いていくと考えられます。

 新年度予算については、市政経営計画を基に市民福祉の向上、感染症拡大防止、地域経済成長などを目指して編成作業を進めてまいりました。その結果、令和4年度の可児市一般会計予算案は、前年度比4億7,000万円、1.6%増の298億5,000万円としました。特別会計及び企業会計を合わせた予算総額は、前年度比14億2,410万円、2.5%増の590億1,280万円としました。

高齢者の安気づくり

 本市の高齢化率は、令和3年10 月時点で28.3%となり、一部の地域では45%を超えています。また、令和2年国勢調査によると全世帯に占める高齢単身世帯及び高齢夫婦世帯の割合が22.5%となり、今後も高齢化の進展が予測される中、社会保障費の確保がこれからの高齢化対策の最重要課題と考えています。

 コロナ禍によって、人と人が触れ合う機会が減少し、高齢者が行政や地域とつながりをもちにくくなっていることから、高齢者を孤立させないために必要な情報提供や気軽に相談できる仕組み「高齢者孤立防止事業」を継続していきます。
 在宅での介護負担の増大や養護者の心身の不調等により発生する高齢者虐待に対し、生命や身体の安全を守るための一時保護体制を整備します。また、年々認知症患者が増加しており、認知症の高齢者が保護された際に早期に身元が判明できるようシールを利用して地域で見守る仕組みを開始するほか、認知症予防教室やまちかど運動教室を充実させます。認知症サポーター養成講座やステップアップ講座等を実施するほか、高齢者の総合的な相談先となる地域包括支援センターの機能強化、地域の支え合い活動団体の活性化支援、岐阜医療科学大学と地域包括支援センターの協力体制の推進などを引き続き行っていきます。

子育て世代の安心づくり

 小中学校においては、文部科学省が目指す「GIGAスクール構想」に基づく教育ICT環境の整備が進められる中、昨年度整備したWi-fi環境や、児童生徒用ひとり1台タブレット、普通教室のプロジェクターなどを活用し、児童生徒の意欲と可能性を引き出すICTを活用した学習活動を推進しています。また、令和6年度から工事予定の桜ケ丘小学校大規模改造事業の基本設計を行います。さらに広陵中学校屋内運動場屋根・外壁改修、広見小学校特別教室棟等屋根改修、今渡北小学校賃貸借校舎トイレ・渡り廊下増築工事を実施し、教育環境を改善します。

 児童の増加や35人学級の編成により普通教室数が増加し、キッズクラブとして利用していた場所についても普通教室として利用する必要が生じたことに加え、入室希望児童に対応するため今渡北小学校にキッズクラブを増設します。
 外国籍の児童生徒数が令和3年12月時点で776人となり、年々増加しています。児童生徒全体の9%を超えており、外国籍市民が地域で生活していく上で必要な支援をするとともに冒頭でお話しした「(仮称)外国籍市民キーパーソン会議」など新たな外国籍市民の実情を共有する仕組みをつくり、外国籍の子どもたちを支援します。
 妊婦健診費を助成することで、経済的負担を軽減し定期的な受診により妊婦の健康管理を行っていますが、産後のケアとなる産婦健診についても新たに助成を開始します。

地域・経済の元気づくり

 市民スポーツの拠点である可児市総合運動場の改修に向け、防災公園としての活用を含め実施設計を行います。既存のKYBスタジアムやテニスコートなどを含めた総合的な運動公園として整備し、健康づくりや多世代交流の場として新たな本市の魅力の一つとなるよう進めていきます。
 かわまちづくり整備事業は木曽川左岸エリアに休憩所を設置します。また、通称かぐや姫の散歩道「木曽川渡し場遊歩道」へと続く かに木曽川左岸公園は、4月10 日にいよいよオープンします。芝生広場や遊具、多目的に利用できるグラウンドを併せ持ち誰もが楽しめる場所となります。この場所は大河ドラマ「鎌倉殿の13 人」のクライマックスになるであろう「承久の乱」の最初の合戦「大井戸の戦い」の舞台であり、可児市の魅力の一つになることでしょう。
 大河ドラマ「麒麟がくる」の放送を契機とした戦国時代及び武将への関心興味につながる山城、美濃桃山陶の聖地などを引き続き磨き上げ、市のファンを増やすため可児市の魅力を発信していきます。
 市政経営計画の最重点施策として位置付ける企業誘致については、令和2年度から進めています可児御嵩インターチェンジ工業団地の造成工事にいよいよ着手します。可児工業団地や、二野工業団地、柿田流通・工業団地とともに雇用の場を創出し、地域経済を活性化していきます。将来的に安定した税収の確保を目指し、引き続き企業誘致を積極的に進めていきます。
 地区センターは、地域の皆さんにとって身近な施設として公民館からの移行の際に使用制限を緩和し、従来の市民の学びの場としての生涯学習機能と地域の特色を生かしたコミュニティ活動の拠点としています。地域の皆さんが地域課題の解決への取り組みや地域活動を行う場として活用していただき、地域の自主的で積極的な課題解決に対し支援していきます。

まちの安全づくり

 可児市地域公共交通網形成計画の方針に基づき、鉄道や路線バス等の連携を強化し、公共交通の利便性を高める運行計画の見直しや関係機関との協議を進め、市民の利便性向上のため公共交通網の構築を目指していきます。
 児童・生徒の通学時の安全対策としては、千葉県の事故を受け実施した通学路合同点検の結果により、通学路の対策工事を実施します。広見・今渡地区で新たに指定されるゾーン30 プラスやひろみ保育園周辺をキッズゾーンに指定し、道路狭さくや路面標示工事を実施するほか、道路工事や公共施設の改修などの公共事業を計画的に進め、市民生活の安全・安心を確保します。
 さらに集中豪雨等による急傾斜地の崩壊や土砂災害、浸水被害などを防ぐため、帷子古瀬地区の急傾斜地崩壊対策事業や室原川の改修詳細設計を行います。市民生活に欠かせない水を安定して供給するため、上水道施設の耐震化等を行ってまいります。
 消防団の円滑な運営のため、国の基準に即し消防団員の報酬額を増額し、安定的な団員確保につなげていきます。
 また、障がいのある方やその家族の皆様に対する自立支援や生活支援を引き続き行い、生活困窮者への就労準備支援を新たに開始するなど総合的な支援を実施していきます。
 公共施設等については、可児市公共施設等マネジメント基本計画や個別施設計画などにより財政負担の軽減・平準化を図りながら施設の老朽化対策等に取り組んでいきます。また、市民生活に欠かせない可茂衛生施設利用組合の「ささゆりクリーンパーク」について、稼働計画期間40 年のうち23 年が経過し、新たなごみ処理施設の在り方を議論していきます。

むすび

 平成26年から微増傾向にあった本市の人口は、令和元年8月には102,418人となり、その後人口減少に転じています。生産年齢人口の減少による市税の減少や本格的な高齢化の進展により増大する社会保障費、また、老朽化した公共施設や道路などのインフラの更新などにかかる財源が必要になり、今後も厳しい財政状況が見込まれます。このような中、これまでの10年は、可児の歴史や文化を掘り起こし、市民の皆さんの力を得て磨いてきました。このタイミングで全国山城サミットの開催や大河ドラマ「麒麟がくる」の放送があったことも市内外の多くの人に可児市の歴史などを知ってもらう契機となりました。また、「可児市のじまんとほこり」の冊子を作成し、子どもたちのふるさと教育に活用するとともに多くの市民の皆さんに配布してきました。さらにいくつかの自治会などでは自ら地域の「じまんとほこり」を作成されています。郷土愛につながる取り組みとして、たいへん感謝しております。
 冒頭でも申し上げましたが、40周年となる令和4年度は、10年後の50周年に向けたスタートの年であると捉え、市民、事業者、行政が一緒になって可児市の魅力を次の世代につなげていく取り組みを進めていきたいと考えています。また、地域の活性化や市民サービスの向上のために民間企業との連携やデジタルトランスフォーメーション、脱炭素へとつながる新たな取り組みを進めていきます。これからの10年は同じ目的を共有する企業や他の自治体、我々にはない知恵や技術を有する企業などと連携し、『住みごこち一番・可児~安心、元気、楽しいまち~』の実現に加えて、本格化する人口減少対策となる新しい可児市の魅力のクリエイトにチャレンジしてまいります。
 「高齢者がにこやかにすごせるまち」、「子どもたちがすこやかに育つまち」、「地域や経済がにぎやかに活動するまち」、「市民の皆さんがおだやかにくらせるまち」、そんな可児市づくりを目指して市政運営を行っていきます。
 市民の皆さまにおかれましては、今後の市政運営と本市発展のために格段のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

添付ファイル

令和4年度施政方針(pdf 377KB)