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平成30年度 施政方針

更新日:2018年2月21日

平成30年度 施政方針 


 平成30年度当初予算案をはじめとする、諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に関する所信を申し述べ、市民の皆様、並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。

平成30年度の基本方針


  内閣府が今年2月に発表した平成29年12月の景気動向指数では、景気の現状を示す一致指標が平成22年を100とすると、120.7となり、景気は改善していることを示しています。
 本市におきましては、私が市長に就任した平成22年の国勢調査と平成27年の国勢調査を比較すると、人口が1.3%増加し、労働者数が3.3%増加、また、可児市への流入人口は5.7%増加、流出人口は0.1%減少となっています。またリーマンショック後の平成24年経済センサスと、平成26年経済センサスを比較しても、市内の事業所数が5.3%増加し、そこで働く従業者は12.9%増加しています。市内の事業所の方とお話をさせていただく機会が頻繁にありますが、多くの方から景気が良くなってきたという声が聞かれます。
 しかし、経済的な効果が出てきているとはいえ、我が国と同様、本市が抱える課題は大きくなってきています。これも国勢調査の比較になりますが、15歳未満の人口割合が平成22年の14.6%から平成27年では13.9%と0.7ポイント下がっている反面、65歳以上人口割合いわゆる高齢化率ですが、平成22年では20.1%から平成27年では25.3%と5.2ポイント上昇しています。この状況は、今後増々深刻なものとなっていきます。
 さらに、国の税制改正による法人市民税の税率引き下げや地方交付税の減額などがあるうえ、先程の少子高齢化の影響もあり、今後の市税収入の増加はそれほど見込めず、より厳しい状況になりつつあります。景気が良くなり、企業や従業者数も増え、人口も増えているにもかかわらず、税収がそれほど増加しないという、今までとは異なった様相を呈し始めていると言えましょう。
 私は市長に就任し8年目を迎えております。これまで「安心なまち」「元気なまち」「楽しいまち」をつくるために、教育、福祉、産業、文化、スポーツ、健康等々様々な施策に取り組み新しい動きを創出してまいりました。
 今後、新たな局面を迎える中で、さらなる本市の発展を目指すため、平成30年度には、8年間の冨田市政を点検しなければならないと考えております。
 一方で、5月にはこれまで準備してまいりました「子育て健康プラザmano(マーノ)」がオープンし、ここを拠点とした次世代を担う子どもたちの育ちへの支援を行ってまいります。また、市民の皆様や関連団体との連携によって、高齢者の皆様が安心して暮らせるよう一層取り組んでまいります。岐阜医療科学大学には、地域医療を支える人材を輩出していただくために、開設支援をしてまいります。公民館の地区センター化による地域課題の解決の仕組みもモデル事業等の取り組みの中で検討されていくものと期待しています。これまで力を注いできましたワーク・ライフ・バランスに取り組む企業への支援や若者の地元就職の促進、美濃桃山陶の聖地や戦国城跡などの観光資源の活用による賑わいづくりもさらなる発展へと結び付けてまいります。また、いつ起きてもおかしくない大地震等への防災対策を、より実践的な訓練を通して進めてまいります。さらには、市道56号線、可児駅前線などが完了を迎える予定です。これらは、転換期にある可児市の新しいスタートの基盤となるものであります。
 以上を踏まえ、平成30年度の可児市一般会計予算案は、大学支援のための予算18億円を除くと、大規模事業が一段落することもあって、前年度比25億7千万円、7.7%減の308億8千万円としました。特別会計及び企業会計を合わせた予算総額は、前年度比約36億7千万円、5.9%減の約584億2千万円となります。 

子育て世代の安心づくり 

 
 少子化は止められませんが、可児市は「能性あふれる(こ)どもがそだつまち」です。今いる可児市の子どもたち、そして、これから生まれてくる子どもたちを、家庭、地域、関係機関そして市民が連携して、しっかり育てていかなければなりません。可児市の全ての子どもたちがそれぞれの力を磨き、自分の夢に向かって成長していけるよう支援する新しい仕組みがスタートします。その仕組みを実現させていくのが、5月6日に可児駅前にオープンする可児市子育て健康プラザ mano(マーノ)です。新たな拠点には、子育て、健康づくりに関わる「こども健康部」を移転するなど組織を集約し、相談窓口を充実させ、中央児童センター「にこっと」を配置します。ここまで揃えた子育て健康支援の拠点は、全国的にも他に類をみない施設であり、本市の強い思いを象徴するものです。
 保育・教育環境の改善や子どものいじめの未然防止・早期発見・再発防止など、子どもが安心して生活し、学ぶことができる環境づくりに引き続き取り組んでまいります。
 外国籍の子どもが多く住むことも、可児市の強みにしていかなければなりません。就学環境を充実し、高校等への進学率を向上させ、職業選択の可能性を広げるとともに、市内企業への就労につながる支援を行い、地域に貢献できる人材の育成を図ってまいります。 

 

 

地域・経済の元気づくり  

 


 少子化によって、これからも可児市を支えていく担い手が少なくなることを受けて、定住・移住に繋がる土地利用を促進するとともに、既存産業を支え、新たな企業を誘致し、経済基盤を強化してまいります。また、これまで「戦国城跡巡り」「美濃桃山陶の聖地」「癒しの空間木曽川左岸」について重点観光資源として、整備・活用してまいりました。これら本市の観光資源の知名度を向上させるためには、先進的な取り組みを行っている地域との連携が不可欠であります。今年1月に実施しました「東美濃の国創り」に関するアンケートでは、86.7%の市民が、東美濃の広域観光連携の必要性を感じています。東美濃広域連携を含め、今後一層、可児市の元気を作るための観光産業興しを進めてまいります。
 木曽川左岸では、可児川下流域自然公園へのアクセス拠点や休憩所機能を有し、子育て、イベント、スポーツ及び防災などの多目的な利用に対応した土田渡多目的広場を整備してまいります。日曜日・祝日の新たなコミュニティバスである「おでかけしよKar」、「Kバス・Kタク」の本格運行など、可児の魅力を楽しめる方策も進め、可児市の元気を作り上げていきたいと考えています。
「わくわくWorkプロジェクト」により、ワーク・ライフ・バランスを始め、働きやすい職場環境づくりに取り組み、実力と魅力のある市内企業を市内外に広くPRしてまいります。
 そして、地元高校生と地元企業を結びつけ「地域で働き、地域で暮らす」良さを伝えることにより、雇用の安定と地元企業の継続的発展、まちの活性化を目指します。
 また、新たな企業誘致に向け、土地利用を検討してまいります。
 可児駅前広場や市道117号線道路改良等、可児駅周辺の基盤整備を行い、利便性向上や通学路の安全を確保し、来訪者を迎え入れる可児市の「玄関口」を整備してまいります。市民の皆様が地域を元気にするために行っている様々な取り組みに対しても、連携、支援をしてまいります。 

 

高齢者の安気づくり 

  

 世界に類をみない超高齢社会の進行は、我が国最大の深刻な課題となっています。さらに、単身で暮らす高齢者も増えています。また、家族と暮らしているまたは家族と関わりがある方でも、家族の負担等大きな課題が生じてきています。可児市内に住む高齢者全員を孤立させない、そして安心して暮らせる仕組みを作っていかなければなりません。
 例えば、高齢者にとって本当に必要な情報をわかりやすく提供する仕組み、気軽に相談できる仕組み、別居する家族が市内に住む親のためにしたいことをお手伝いできるような仕組みなどを検討していきたいと考えています。
 地域包括ケアシステムをさらに進めるとともにそれを補完する、高齢者が安心して、住み慣れたところで、暮らしていけるよう、地域で高齢者を支え合える仕組みづくりを、市民ボランティアの皆様や関係機関・団体と連携して進めてまいります。
 一方、自らの健康は、自分で管理するという意識を持ち、運動習慣の定着や各種健(検)診への呼びかけを積極的に行っていきます。
 また、国民健康保険については、都道府県と市町村が共同保険者となって運営する形に変更されますが、少しでも負担の軽減を図れるよう保険税額を見直します。 

まちの安全づくり

  

 いつ起きてもおかしくないとされている南海トラフ地震をはじめ、頻発する集中豪雨など身近に起こる災害を想定し、予め準備を整えておかなければなりません。
 そのため、南海トラフ地震が実際に発生した場合に考えられる被害を想定した訓練を行い、特に、災害時に協定を締結している団体、ライフライン事業者等と連携した訓練と自治連合会、自治会が主となって行なう避難所開設・運営訓練の実施を目指します。
 さらに、大規模災害に備え、水道施設の耐震化及び道路、橋梁、河川の安全性を確保するとともに、集中豪雨等による山崩れやがけ崩れから市民の生命財産を守るために、特に危険の高い箇所の整備を実施してまいります。
 また、障がい者の皆様が安心して暮らせるよう、障がい者基幹相談支援センターを設置し、個人や世帯が抱える様々な課題に対する支援をしていくなど地域体制づくりを行ってまいります。
 この4月には、公民館を地区センターに移行します。地域課題をみんなで解決していく拠点としての活用を期待しています。
 さらに、都市基盤の老朽化を踏まえ、地域のご要望にできる限りお応えできるよう、市民生活に直結する道路、水道、交通安全施設などの基盤整備を引き続き着実に進めてまいります。 
 

むすび

 

 岐阜医療科学大学の開設まであと1年です。昨年、文部科学省が公表した18歳人口の将来推計によると、120万人程度であった18歳人口が2030年には100万人程度まで減少し、さらに2040年には約80万人まで減少するとされています。これまで郊外に移転していた大学も、学生募集のために都心回帰しています。本市の名城大学移転もその例です。このような状況にある今、あえて大学誘致に踏み切りました。
 以前のような若者による賑わいや活力を期待するという理由だけではありません。厚生労働省のデータを基にした平成28年の岐阜県地域医療構想によると、人口10万人あたりの薬剤師数が全国では170.0人であるのに対して、岐阜県では151.8人、この地域では119.4人しかいません。また人口10万人あたりの看護師数でも全国で1187.7人、岐阜県で1185.3人であるのに対し、この地域では1035.7人しかいません。今後、ますます重要となる地域の医療を支えていくためには、薬剤師も看護師も圧倒的に少ない現状があります。
 このような状況のもと、地域医療を支える人材を育成し、その人材が少しでも多くこの地域で活躍してくれることを目指すとともに、今後、ニーズが高まるコミュニケーション能力を備えた医療系人材を輩出する一翼を可児市が大学と一緒に担っていくものであります。医療系分野の大学であるからこそ、あえてチャレンジするものであります。
 そのために、岐阜医療科学大学可児キャンパスが開設でき、優秀な学生が集まり、しっかりとしたカリキュラムの中で学べるよう、市として全力で応援していきたいと考えています。
 私が市長に就任して2期8年目となります。今まで、市民の皆様、議員の皆様のご理解、ご協力をいただいて、「住みごこち一番・可児」~安心なまち、元気なまち、楽しいまち~を目指して、「(1)高齢者の安気づくり」、「(2)子育て世代の安心づくり」、「(3)地域・経済の元気づくり」、「(4)まちの安全づくり」を重点施策として進めてまいりました。
 例えば、高齢者の包括支援センター整備、Kマネーと支え愛地域づくり事業、高齢者サロンなどへの支援、歩こう可児302など健康づくり、マイナス10カ月からの子育て支援、子育て健康プラザ mano(マーノ)整備、放課後児童クラブの拡大、保育待機児童解消、小中学校エアコン等施設整備、いじめ防止専門委員会設置、かにっこ英語プログラム、KYBスタジアム・テニスコート整備、可児駅前広場・東西自由通路整備、企業誘致、美濃桃山陶の聖地・美濃金山城・木曽川左岸など観光交流事業推進、わくわくWorkプロジェクト、市道56号をはじめ、道路・上下水道・河川・公共施設等の改修整備、障がい者福祉施設整備、水防訓練等防災体制整備、岐阜医療科学大学誘致など、様々なハード、ソフト事業を推進してまいりました。
 平成30年度は、今までの施策を総括した上で、さらなる発展をめざして、平成31年度に策定を予定している新総合計画につなげていきたいと考えております。議員の皆様におかれましても、今までに様々なご提案をいただいております。しかし、打出の小槌があるわけでもございませんので、ぜひ、平成30年度中には、今後、優先すべき事業、不要な事業等を整理し、新総合計画に備えていただければと思います。
 引き続き、市民の皆様、並びに議員各位のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、平成30年度施政方針とさせていただきます。 


添付ファイル

・平成30年度 施政方針