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平成29年度 施政方針

更新日:2017年2月24日

平成29年度 施政方針

 平成29年度当初予算案をはじめとする、諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に関する所信を申し述べ、市民の皆さま、並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。

平成29年度の基本方針

 

  本市は、昭和40年代から、名古屋市のベッドタウンとして、多くの住宅団地ができ、人口が急増しました。それに伴い、上下水道、道路や学校等の基盤を整備し、市民生活を支えてまいりました。 

 それから約半世紀を経た現在、我が国では高齢化と少子化が進み、経済の先行きも不透明な時代となりました。私は、このような時代を乗り越えていくためには、先人から継承した様々な資産を活用して、次代に引き継ぐ新たな可児市づくりにチャレンジしていかなければならないと考えております。

 私は、市長に就任以来、高齢者支援、子育て支援、産業振興、観光交流など、可児市に住みたい、住み続けたいと思えるようなまちづくりを進めてまいりました。

 現在、可児駅前では、子どもの健やかな成長を支援する機能を中核とし、市民の健康と賑わいづくりをテーマとした拠点施設の整備を進めております。この拠点は、市民みんなで子どもの育ちを支え、また、その一方で、年齢・性別・国籍などにかかわらず、様々な人が集い、手をつなぎ、元気で楽しいまちのイメージを発信し、賑わいを創り出す本市のランドマークになると考えています。併せて可児駅前線や可児駅東西自由通路などの周辺整備も含めて、市民誰もが愛着と誇りを持って集い、訪問者を迎え入れることのできる可児市の「玄関口」として、さらに民間の力も加わって、その整備効果が、広見市街地をはじめとして拡がっていくことを期待しております。

 また、美濃桃山陶の聖地や戦国時代の山城跡、木曽川左岸など歴史や自然をもっと感じ、もっと楽しめるまち、そしてこの楽しみを求め、多くの人が集まり交流するまちをつくっていきたいと考えています。

 これまでの可児市は、「安心して住めるまち」を目指し、そこに「元気なまち」を加えてきました。さらに「魅力」というエッセンスを加え、「楽しいまち」という大きな幹を育てあげていくための、まさに本格的スタートの年として、平成29年度を位置づけたいと考えます。

 市の財政は、財政力指数をはじめ、実質公債費比率など各指標はともに良好であります。景気回復の見込みから、県内の雇用情勢も増加傾向にあること等により、市民税が増加し、また新築家屋の増加により、固定資産税も若干の増加が見込まれ、健全財政が当面維持できると考えております。

 平成29年度可児市一般会計予算案は、前年度比20億4,000万円、6.5%増の334億5,000万円と3年連続して過去最高の積極型予算としました。特別会計、水道事業会計と新たに企業会計となる下水道事業会計を合わせた予算総額は、前年度比28億6,610万円、4.8%増の620億9,010万円とこれも過去最高となります。

こどもの育ちを支える

 

 少子化が進む中、次代を担う子どもたちの育ちをしっかり支援することは、市政の最重要テーマであります。そのため、「マイナス10カ月から つなぐ まなぶ かかわる 子育て」を一層進めてまいります。この4月からは、子どもが健やかに育ち、安心して子育てができる環境づくりと健康に暮らせるための支援を、より市民に寄り添い、的確に進めていくため、こども健康部を新設いたします。こども健康部では、支援が必要な子どもの早期発見と早期支援にも力を入れ、成長段階に応じた切れ目のない支援を強化してまいります。

 また、子育て・健康・にぎわい空間施設の平成30年春オープンを目指し、その後もスムーズな運営が行えるよう、準備に万全を期してまいります。

 待機児童という課題の解決を目指して進めております民間の認可保育園は、この4月に開園の運びとなりました。キッズクラブは、市内1ヶ所の拠点方式で、毎週土曜日もお子さんをお預かりできるようにします。引き続き高まる保育ニーズに応えられるように今後も保育施設整備を推進してまいります。

 いじめ防止については、昨年開催した、いじめ防止自治体サミットをはじめ、全国的にも注目されておりますが、子どもの健やかな成長にとって、人の心を傷つけない人権教育が不可欠な取り組みであると位置付けて、今後も進めてまいります。また、小学校の児童の増加に対応する仮校舎、低学年用のトイレの洋式化、屋内運動場の改修など、小中学校の環境改善にも順次対応いたします。

 市内の外国籍児童・生徒が現在500人以上となり、児童・生徒全体の6%を超えております。このような状況のもと、ばら教室KANIの拡張の検討や、就学支援を行ってまいります。さらに、子どもたちのコミュニケーション能力の向上等のため、中学生・高校生をオーストラリア・レッドランド市に派遣する事業を引き続き行います。これらの事業を行うためには、ボランティアの皆さんとの連携が不可欠となりますので、ぜひとも、一層のご協力をお願いいたします。
 

魅力と元気を創る

 

 従業員のワークライフバランスに取り組む企業を応援し、若者の地元企業への就職を促進することで、安定的な雇用と定住・移住を促進してまいります。また、小規模事業者や創業希望者の皆さんに対して、相談窓口の開設や小口資金融資制度の改正を行い、サポートしていくことで商工業の活性化を図ってまいります。

 そして、地元産の農作物については、市民により広く知っていただき、地元で消費できる取り組みを、引き続き関係者と連携し行ってまいります。

 また、適切な土地利用の誘導を図るとともに、企業誘致・立地も引き続き進めてまいります。特に東海環状自動車道可児御嵩インターチェンジ周辺地域への企業誘致は重要課題と位置付けて進めてまいります。

 観光交流では、美濃桃山陶の聖地、旧荒川豊蔵邸の周辺整備が完了し、一般公開をいたします。この地を紹介するボランティアも養成し、国内はもとより、海外での認知度向上も目指して、より多くの方々に国宝を生んだ我が国最高の芸術・ものづくりの原点をご堪能いただきたいと思います。

 美濃金山城跡をはじめ、市内の城跡についても、一層の市内外からの誘客の場を目指します。その中心となる兼山地区は、まちなみを活用し、新たに兼山ぶらり歩きなどを仕掛け、賑わいを創り出し、まちの元気・活性化に繋げてまいります。久々利城跡、今城跡、大森城跡など、その他の城跡についても、それぞれの地域の市民ボランティアや企業の力をいただいて整備と活用を行ってまいります。

 子どもたちが自然の中で遊ぶことが、こどもの成長に良い影響を与えるということに注目しています。木曽川左岸という日本有数の素晴らしい自然景観の中で、思いっきり楽しんでもらうプロジェクトの中心が「可児市かわまちづくり基本計画」で、今年度中に国の登録が得られる予定です。その中核となる土田渡の多目的広場は、子育て、イベント、スポーツ及び防災などの多目的な利用に対応する広場として整備を進めます。

 また、コミュニティバスについては、日曜日・祝日に「市民の楽しみを創出し、まちを活性化する」ことを目的に、観光・文化施設を巡る移動手段として実証運行を行ってまいります。

こうした取り組みを契機として、民間の投資も期待し、Kルートの利用、花フェスタ記念公園との連携等も念頭に置き、交流人口のさらなる増加を目指してまいります。

さらに、産業振興と交通の利便性、安全性を高めるための道路整備を行ってまいります。そして、市民が文化芸術を通して生き生きと暮らせるよう取り組むとともに、スポーツ施設におけるサービスの向上を図ってまいります。

健康に暮らし高齢者を支える

 

 超高齢社会においては、医療、介護分野の専門家と市民ボランティアが連携して高齢者を支えていく「地域包括ケアシステム」を整備していくことが求められています。まだまだ多くの課題がありますが、関係機関による対策研究を進めることで、課題解決を図ってまいります。また、市内で最も高齢化が進む帷子地区を担当する、市内6箇所目の地域包括支援センターを設置し、高齢者が安心して、住み慣れたところで、暮らし続けられるよう、仕組みづくりを引き続き行ってまいります。さらに、認知症の早期診断や早期対応の支援体制を整えていくとともに、認知症カフェなど、認知症の方への支援体制もつくってまいります。介護予防につきましても、多様なサービスの提供を行い、運動教室などを通して、支援いたします。

 平成26年度から試行期間として実施してまいりました、支え愛地域づくりモデル事業は、本格実施に移行し、ボランティア活動や地域経済の活性化を図ってまいります。

 そして、健康は、自分で管理するという意識を持ち、気軽にできる健康づくりや生活習慣病等の早期発見・早期治療に繋がるよう、健(検)診受診の呼びかけを積極的に行ってまいります。また、健康づくりについては、気軽に、しかも習慣化できるよう展開していくとともに、健康管理を促進できるよう健康ポイント付与のしくみも検討してまいります。

 国民健康保険税については、特別会計の健全性を維持しつつ、加入者負担を少しでも軽減するため、税額の引き下げを行います。

安全と安心を確保する

 

 昨年は、4月に熊本県で、また10月には鳥取県で大きな地震が起こり、甚大な被害が出ております。歴史的にみると、これらの地域の次に東海地方であまり年数を置かずして大きな地震が起きており、近々東海地方で起こるのではないかと考えられます。そのため、近いうちに必ず起きるといわれている南海トラフ巨大地震に対して備えていかなければなりません。そこで、この地域での大地震発生を平成30年度と仮に想定した、より実践的な防災訓練の実施を目指して、平成29年度は防災訓練の充実、特に避難所開設運営訓練を軸とした避難訓練、救援物資集積配分訓練等を行ってまいります。

 さらに、地震に対する建築物の安全性に関する意識啓発、耐震化の促進を図り、建築物等の倒壊による被害を減らし、災害に強いまちづくりを進めます。

 また、障がいのある方が安心して暮らせるよう、福祉的就労の場や居住の場となる市有地を活用した障がい者の福祉サービス施設が、この4月に4ヶ所開所いたします。障がい者の社会参加や生活の環境づくりにこれからも努めてまいります。

 市民生活の安全、安心の面では、地域の皆さんからお寄せいただく道路や水路、街路灯、ゴミ問題など生活環境に関する整備等のご要望に少しでも応えられるよう努力してまいります。

 ここ数年は、火災や刑法犯、少年非行の発生件数が減少してきています。これも、消防団をはじめ、地域の皆さん、市民活動のおかげであります。行政だけでは成し得ない地域の安全と安心を守るために、これからも自治会をはじめ市民の皆さんのご協力をいただきたいと思います。
 

むすび

 

 只今申し上げましたように、行政は市民の皆さんの力なくしては、進んでいけません。この市民力が高齢者の安気づくり、子育て世代の安心づくり、地域・経済の元気づくり、まちの安全づくりの基となることは言うまでもありません。昨年、社会教育委員からご提言いただきました、公民館のコミュニティセンター化につきましては、公民館がまさに地域の拠点として、子育て支援や高齢者福祉、防災等の地域課題解決の拠点となることも含めて、より多くの市民、様々な世代にご活用いただけるよう検討してまいります。その他の施設につきましても、将来世代に大きな負担を残さないよう計画的に維持管理を行っていくとともに、市民目線で使いやすい公共施設となるよう努めてまいります。

 平成28年度は「かに暮らし情報発信元年」と位置付け、様々な施策に取り組んでまいりましたが、平成29年度は一層、本市の魅力や住みよさを発信し、可児市の良さを認識していただき、誇りや愛着を育むことで定住を促すとともに、交流人口の増加や移住の促進に繋げてまいります。
 
この3月をもって、名城大学都市情報学部が移転しますが、その跡地に、岐阜医療科学大学の開設が早々に決まり、大変感謝しております。今後、同大学との連携協定等について、具体的な詰めの段階へと入ってまいります。新学部の開設を含め、同大学の誘致が可児市の一層の発展、特に地元帷子地区の活性化に結びつくように検討を進めてまいります。新しい大学は医療系分野であり、市内の医療関係機関との連携、人材供給の大きなメリットとなる可能性が期待できます。また、保健、子育て、健康づくり分野で、可児駅前拠点との連携も考えられます。併せて、多くの学生が本市に住み、定住へと繋げるため、市内関係機関、企業、地域との連携が必要です。特に通学の最寄り駅となる西可児駅周辺が学生たちや若者たちで賑わうような環境整備を行うことで、商業分野をはじめとした民間投資が進むことも考えられます。

 昨年、平成27年の国勢調査結果が公表されましたが、可児市の人口は98,695人で、前回の平成22年調査と比べると1,259人、約1.3%の増加となり、国勢調査上過去最高の人口となったことは、元気な可児市の象徴となりました。

 大学のある地域、スポーツ拠点・文化拠点のある地域、行政サービスの拠点のある地域、自然・景観・歴史的レガシーを大いに楽しめる地域、企業が集積する地域、市街地環境・住環境の素晴らしさが魅力となる地域、鉄道や高速道路という市の玄関口に繋がる地域など、市内のそれぞれ特色ある各地域の更なる活性化を縦軸として、市民の支え合い活動と、本市の経済を支える商工業、新たな観光交流・サービス産業を横軸として、今後とも可児市の持続的な発展を目指してまいります。

 市民の皆さま、並びに議員各位のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の平成29年度の施政方針とさせていただきます。

添付ファイル

・平成29年度 施政方針