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平成27年度 施政方針

更新日:2015年2月23日

はじめに

  平成27年度当初予算案をはじめとする、諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に関する所信を申し述べ、市民の皆さま、並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 我が国の経済は、一定の明るさが見られるものの、景気回復の実感が地域の隅々まで行き届いていないと言われています。国は地域住民生活等緊急支援のための交付金などの緊急経済対策を講じるとともに、平成27年度予算では、経済再生と財政健全化の両立を達成し、全国津々浦々に景気回復の成果を届けるとしています。また、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を定め、人口減少と地域経済縮小の克服、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立を目指すとしています。
 岐阜県は地域の魅力づくり、産業・文化の振興など、「清流の国ぎふ」づくりの全面展開や県民生活と県土の強靭化を推進することで、「清流の国ぎふ」創生に挑戦していくとしています。
 超高齢社会、少子化社会の波は、本市にも押し寄せつつあり、この波を自らの考えと力で乗り越え、活力を維持していくためには、「若い世代が住みたいと感じる魅力あるまちの創造」を進め、満足と幸せを感じて暮らすことができる「“住みごこち一番”可児」の実現が必要であると考えます。そのために「高齢者の安気づくり」「子育て世代の安心づくり」「地域・経済の元気づくり」「まちの安全づくり」の重点方針のもと、本市の特性を念頭に、国・県の取り組みと歩調を合わせ、重点的なプロジェクトを「Kプロジェクト」と総称し進めていきます。
 なお、施策、事業の円滑で効果的な推進には、市民一人ひとりが地域の中で何ができるかを考え行動していただく「市民力」を、十分に発揮していただく必要があると考えます。

市財政と平成27年度予算について

 市の財政は、健全化の指標である財政力指数、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率からみて、比較的良好な状況を維持しています。ただし、歳入の根幹である地方税の大幅な増加が見込めない中で、扶助費を中心に社会保障関係経費が増加していくため、厳しい財政状況になることが予測されます。
 歳入における市税は、固定資産税が評価替えの影響により減少するものの、市民税が個人の所得割額や企業収益の回復の影響により増加することから、全体で増加すると見込んでいます。地方交付税は、総額の削減と市税収入の増加を勘案し減少すると見込んでいます。歳出は、社会保障に係る経費の増加、子育て拠点施設に係る公有地取得、小学校の大規模改造、誘致企業への奨励などにより増加しています。このような中で、限られた財源を有効に活用し規律ある財政運営を堅持しつつ、必要なことに確実に対処するため、選択と集中により重点的な施策・事業に予算を配分し、平成27年度の一般会計予算案は、前年度比8億8,000万円、3.2%増の286億円と過去最高の規模としました。特別会計及び水道事業会計は、介護サービスの推進、水道施設の耐震化などにより増加しており、一般会計予算と合わせた予算総額は、前年度比32億9,970万円、6.3%増の555億3,380万円としました。

平成27年度の主な事業について

高齢者の安気づくり

 高齢者が住み慣れた地域や家庭で安気で健康に暮らしていけるよう、高齢者の方が自身で行う健康づくりをサポートしていくとともに、医療、介護の連携と地域住民による支え合いの仕組みの構築などを社会福祉協議会や協力事業者、関係団体などと連携して進めていきます。
○健康・生きがいづくり(自助)
 高齢者の健康を維持し、生活機能の維持・向上を図るため介護予防教室を開催するとともに、講習会の開催などにより、「歩こう可児302」を市民運動として展開していきます。また、快適に歩けることで楽しさが増すよう、Kルートの距離表示やルート補修を進めます。
○支え合いの地域づくり(共助)
 可児市版地域包括ケアシステム「Kケアシステム」の構築に向け、モデル事業を実施するとともに、生活支援や介護予防サービスを創出し在宅介護につなげていく生活支援コーディネーターや、認知症の方とその家族を支援する認知症地域支援推進員を設置します。
 地域支え合い活動助成制度を創設し、地域住民組織やボランティア団体などによる高齢者の日常生活支援などに資する活動を支援します。
 また、「地域支え愛ポイント制度」の対象ボランティアを拡大し、地域の支え合い活動への市民参加を促進します。
○適切な医療・福祉の体制づくり(公助)
 第6期介護保険事業計画などに基づき、介護サービスを安定的かつ継続的に提供します。
 また、医師確保による地域の医療体制及び救急医療体制を充実するため、中核病院における設備投資を支援するとともに、後期高齢者のさらなる健康増進を図るため、後期高齢者の口腔健康診査を始めます。

子育て世代の安心づくり

 妊娠期から学齢期まで子どもと子育て家庭が地域・社会とつながり、安心して子育てできるよう、ボランティアや関係市民団体の協力のもと切れ目ない支援をしていきます。また、一人ひとりの子どもに寄り添い個々の力を伸ばす義務教育を進めるとともに、ふるさとへの誇りと社会力を養い育みます。
○マイナス10カ月から安心して子育てできる環境づくり
 可児駅前の子育て支援を中核とした拠点施設は、市民や関係団体からの意見を踏まえた企画設計をもとに基本設計を進めています。平成27年度は、実施設計を行い施設の詳細を固めていきます。
 妊娠時の不安を解消し、子育て家庭とつながり、支えるため、母子健康手帳交付時の情報提供、訪問などによる支援、乳幼児健診受診の勧奨を行います。
 支援を要する家庭を早期に把握することや複雑化する保護者からの相談内容に対応するため、臨床心理士を配置します。
 また、特定不妊治療費への助成を充実し、妊娠を望む夫婦の経済的な負担を軽減します。
 さらに、外国籍の子ども達が小学校に入学するためのプレスクールなどを運営していきます。
 子育て世代の共働きの増加により、3歳未満児の保育やキッズクラブへのニーズが急増し、保育園とキッズクラブの受け入れがひっ迫しています。そのため、子ども・子育て支援新制度による小規模保育などの推進、キッズクラブの兼山小学校での新設や既存クラブの拡張など、子ども・子育て支援事業計画により取り組んでいきます。
 また、地域住民と地域の子どもとのかかわりにより、大人も子どもも地域で支え合うことの大切さを感じられるよう、キッズクラブや児童センターをはじめ子ども会などにおけるボランティア活動の活発化に取り組みます。
○日本一子どもに寄り添い個々の力を伸ばす義務教育のまちづくり
 児童が集中して授業に取り組めるよう、小学校11校の普通教室、支援教室などに空調設備を設置し、教育環境の向上を図ります。
 また、スクールソーシャルワーカー及びスーパーバイザーを学校へ派遣することで、児童生徒が学校や家庭生活で抱える困難な問題に対応していきます。
 いじめの通報や相談に対しては、いじめ防止専門委員会で調査や調整などを行うとともに、いじめ防止に市民が一体となって取り組む気運を高めていきます。学校では「いじめ防止教育プログラム」の開発・実践・評価を実施します。
○ふるさとへの誇りと社会力を養い育むまちづくり
 学校の授業も活用しながら、歴史、文化、自然などの市の良さを子どもたちに伝え、愛郷心を養います。
 また、外国語指導助手を増員し、オリジナル英語かるたやかにっ子英語プログラムを全小学校で実施するとともに、オーストラリアの小学校との交流を通じて、子どもの英語でのコミュニケーション能力を育て、社会力の向上も図ります。

地域・経済の元気づくり

 市内の歴史、文化、自然などの地域資源を掘り起して磨き上げ、市内外に発信していくことで、市民の皆さまに市の魅力が認知され、愛着と誇りが醸成されることを定住人口の増加につなげていきます。一方で市外からの来訪者を増やし、観光交流人口の倍増を目指していきます。
 若い世代の定住には、安定した生活を確保するための働く場所が必要であり、企業誘致や既存企業拡張による雇用の場を確保していきます。また、子ども達が将来市内で就労し、居住していくことにつなげていくため、優良企業の紹介や企業活動のPRにより子ども達の市内企業への理解を深めていきます。
 地域・経済の元気づくりへの取り組みは、商工会議所や観光協会、関係市民団体と連携して進めていきます。
○観光交流人口の拡大による活気に満ちた地域づくり
 観光グランドデザインの本篇を策定し、具体的な取り組みを示します。
 5月16日から6月21日まで、岐阜県が花フェスタ記念公園で「花フェスタ2015ぎふ」を開催します。市のイベントを開催し盛り上げていくとともに、来園者に市の魅力をPRしていきます。
 美濃桃山陶の聖地は、大萱古窯跡群の国史跡指定を目指し、弥七田古窯跡の試掘調査及び地形測量を実施するとともに、人間国宝故荒川豊蔵氏の居宅の改修や東屋・園路などの整備に着手します。国指定史跡美濃金山城跡は、保存管理計画を策定していきます。また、市内城跡の活用研究や里山、可児川、木曽川左岸などの魅力向上に取り組みます。
 県が環境保全モデル林として整備した我田の森と花フェスタ記念公園において、第39回全国育樹祭のサテライト行事を開催します。
○働く場の創出につながる活力ある地域経済づくり
 企業誘致や拡張を促進するため、市内の事業用地の情報発信や企業との情報交換を行うとともに、事業所等設置奨励金などの支援事業を実施していきます。また、二野工業団地と幹線道路を結ぶ市道56号線の建設工事を進めていきます。
 Kマネーで交付している住宅リフォーム助成事業は、新たに新築と増築を対象に加え、商工振興を図ります。
○郷土への誇りと愛着を高める元気な地域社会づくり
 農商工産品の特産品をはじめ、人、歴史、文化、自然などの地域資源も活かして地域ブランドとして打ち出し、販路拡大を図ります。
 KYBスタジアムなどの体育施設は、市民、企業、各種団体と連携したイベントの開催やアスリートから一流の技術を学ぶ場としての活用をはじめ、子育ての場としても活用していきます。
 土田渡地内の多目的広場は、イベントやスポーツを楽しむことができ、災害時にも活用できるよう実施設計を行います。
 空き家・空き地バンクを活用し、空き家・空き地の利用を促進するとともに、住宅団地の魅力の発信を促進します。また、空き家等の適正管理に関する条例や関係法令により、管理不全な空き家に適切に対処します。

まちの安全づくり

 民間事業者や関係市民団体と連携し、身近な生活環境の安全と利便の確保、大規模災害への備え、支え合いの福祉のまちづくりを進めます。
○災害に強いまちづくり
 市民の生命財産を守るため、今渡東住吉地区雨水支線整備工事や今川改修のための用地買収及び鳴子地区排水路整備工事など、地域の要望にできるかぎり沿い集中豪雨などによる浸水被害の防除・軽減を図ります。
 大規模地震時などでの安定給水体制を強化するため、低区配水場耐震補強修繕工事、第2低区系送水管布設替え工事、鳩吹台配水区を虹ケ丘配水区に統合するため、新虹ケ丘配水池の実施設計及び配水連絡管布設工事などを行います。
 老朽化し手狭になった第4分団第1部の消防車庫を新築し、消防団の機能を強化します。女性消防団員は、火災予防啓発や普通救命講習のサポートを行っていきます。また、地域住民の知識や技術の向上を図るため、防災リーダーを育成する講座などを開催します。
○安全で暮らしやすいまちづくり
 道路橋梁の劣化による事故の未然防止と長寿命化を図るため、石森橋、新大森橋、下切の竹之内橋の修繕工事と66の橋梁の法定点検を実施します。
 道路維持・改良は、羽生ケ丘地内の市道49号線、矢戸地内の市道23号線などの主要道路の舗装の修繕工事や、羽崎地内の市道2211号線の通学路整備などにより、児童生徒の通学時の安全対策を進めるほか、地域の要望にできるかぎり応えていきます。
 国道21号住吉交差点4車線化工事にかかわる地域交通の利便性を確保するため、市道5398号線の道路新設を進めるとともに、可児御嵩インターチェンジと国道248号を結ぶ下切地内の市道43号線の改良工事を実施します。
 カーブミラーや通学路標識などの新設や維持管理を行うとともに、防犯灯を整備するすべての自治会に補助を行います。
 可児駅の東西を誰もが安全に行き来することを可能にするため、可児駅自由通路の詳細設計及び西口広場整備の実施設計を行います。
○市民生活の安心づくり
 障がい者の日常生活と社会生活の自立を支援していくため、社会福祉法人などが実施する施設整備に補助するとともに、障がいに応じて必要になるサービスを提供していきます。
 また、事業所との地域見守り協力活動協定の締結などにより、地域での支え合いの仕組みづくりを進めていきます。
 一方で、生活困窮者自立支援法に基づき、生活困窮者への生活や就職などの総合的な支援を行い、自立した生活への移行を支援していきます。

 以上、平成27年度の方針と主な事業を説明いたしましたが、このほかにリニア中央新幹線は、事業着手へと進んできており、住民の皆さまへの丁寧な説明と必要な市との協議を東海旅客鉄道株式会社に求めていきます。
 また、10月から始まる社会保障・税番号制度への準備を進めていきます。

行財政運営について

 限りある財源と職員体制のもと、市民を中心に計画的かつ効率的な行財政運営を進めていきます。
 効果的な情報提供を行うとともに、市民の皆さまや各種団体との懇談や多様なツールによる情報共有を進めていきます。
 公共施設については、基本方針のもと長期的な視点で施設の在り方を検討していくとともに、この先10年程度の新設、改修、更新を洗い出し、基本計画として取りまとめていきます。
 また、施設の管理・運営への指定管理者制度適用など民間活力の導入をさらに進めていきます。
 多様な手段により外部資金を獲得していくとともに、市県民税や固定資産税などのクレジットカードでの納付を可能にし、納税者の利便性と収納率の向上を図ります。
 中長期的な市政運営に資するため、第4次総合計画後期基本計画及び国のまち・ひと・しごと創生総合戦略を勘案した可児市版総合戦略を策定するとともに、教育の振興に関する施策の大綱を策定します。

おわりにあたり

  超高齢社会、少子化社会という大きな局面を迎え、手をこまねいていれば人口は減少し、市の活力も失われていきます。元気な地域力と経済力に支えられた安全・安心なまちで、いつまでも安気に暮らし続けられ、子ども達が夢を持って健やかに育ち、自然、スポーツ、文化、歴史などがまるごと楽しめる可児市の実現を目指し、長期的な視点のもと、政策課題に取り組んでいきます。また、年代にかかわらず必要な人に必要な手を差し伸べ、地域からの要望にきめ細やかに対応していきます。
 それにより、可児市はどこよりも住みよいまちであると市民の皆さまが実感し、それを大人から子どもに伝えていくことで、子ども達が可児市に住んで、可児市で働き、地域を支える社会力を備えた大人へと成長していくことを目指します。
 これまで種を蒔いてきた施策・事業の中で、芽が出てきたものや成長しているものがあります。それらが「市民力」という光を浴びることで、幹が太くなり、果実を実らせていくことで、「“住みごこち一番”可児」を実現していきたいと考えています。
市民の皆さま、並びに議員各位の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の平成27年度の施政方針とさせていただきます。

添付ファイル

平成27年度施政方針(pdf 55KB)