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平成26年度 施政方針

更新日:2014年2月25日

はじめに

平成26年度予算案をはじめとする、諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に関する所信をご説明し、市民皆さま並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。

日本経済の再生を目指した取り組みが推進された結果、GDPが4四半期連続でプラス成長し、昨年12月の有効求人倍率が1.03倍の高水準となるなど、国の経済は上向いてきており、県内の経済も緩やかに回復しつつあるとされています。

しかし、景気回復の実感は、私ども地域経済まで届いておらず、さらに4月には消費税率の引き上げが実施されることから、反動減による景気の下振れが懸念されています。また、国の財政は依然厳しい状況にあり、平成26年度の予算編成では、社会保障をはじめとする義務的経費などを含め、聖域なく抜本的に見直した上で、経済成長に資する施策に重点化を図るとされています。

一方、本市の財政状況は、積極的な財源確保と堅実な財政運営に努めてきており、実質公債費比率、将来負担比率が改善されているなど健全な状態を維持してきています。また、減少傾向が懸念されている市税も積極的な企業立地などにより、何とか横ばいを確保しているものの、高齢化などに伴い、社会保障関係経費が大幅に増加していくことから、政策的な経費に充てることができる財源が、急速に減少していくことが見込まれます。


平成26年度の市政運営方針について

本市の人口は、平成20年から減少に転じており、昨年まとめた市の人口推計によれば、今後とも人口減少が進行し、年少人口と生産年齢人口の減少とともに、平成22年に20.1%であった高齢化率が、平成52年には33%に達するとされています。右肩上がりの人口・経済を前提にした、過去の経験を拠り所とする行財政運営では、住民福祉の増進を図ることは不可能であり、社会構造の変化に伴うさまざまな課題に対処していくためには、明確な方針を立て、柔軟な発想で挑んでいかなければなりません。

市長に就任して3年、私は、市民皆さまの声に真摯に耳を傾け、市民中心のまちづくりを基本理念に、重点方針を掲げ取り組んでまいりました。平成26年度は任期の最終年度となります。超高齢社会に正面から向き合い備えていくため、若い世代をはじめ誰もが魅力を感じ、可児市に住みたい、そして住み続けたいと感じることができる「若い世代が住みたいと感じる魅力あるまちの創造」を目標とします。

目指すまちの創造に向けて、4つの重点方針「高齢者の安気づくり」「子育て世代の安心づくり」「地域・経済の元気づくり」「“まち”の安全づくり」のもと施策を展開してまいります。


平成26年度予算編成について

以上の基本的な考え方のもと、10年、20年後に市が目指す姿の実現に向け、着実に一歩ずつ前進していくため、平成26年度予算を編成いたしました。

平成26年度可児市一般会計予算総額は、前年度に比較して7億4,000万円、2.7%増の、277億2,000万円といたしました。ただし、臨時福祉給付金給付事業などの特別な要因を除いた増加額は、3億4,640万円となり、1.3%の増となります。

特別会計及び水道事業会計を合わせた予算総額は、522億3,410万円で、対前年度比14億1,590万円、2.8%の増となりました。

本市の将来をしっかりと見据え、住民生活の向上に密着したメリハリのある予算としております。そのためには、将来世代に過度な負担をかけることがないよう、積極的かつ効果的な外部資金の活用を図っております。


各施策の展開について

重点方針1 高齢者の安気づくり

高齢者が地域で安心して暮らせるよう、平成23年度に高齢者福祉計画及び介護保険事業計画を定め、地域包括支援センターの増設や財政支援による小規模特別養護老人ホームなどの設置を進めてまいりました。また、宅老所など地域での支え合いの取り組みを支援してまいりました。

高齢者が健康で安気に暮らせるためには、自助・共助・公助を効果的に組み合わせていく必要があり、自助による生きがい・健康づくり、共助による安気に暮らせる地域づくり、公助による安心な介護・医療の体制づくりを進めてまいります。 

生きがい・健康づくり

何よりまず、高齢者の心身の健康を維持し、要支援・要介護状態になることを防止することが大切であります。運動・栄養・口腔などにおける介護予防事業を実施するとともに、年1回の健康診断、週2回のウオーキング、日3回のバランスのよい食事、()ゃかい(社会)参加で楽しくの、「1・2・3・4で健康づくり」を推進してまいります。特にウオーキングは、手軽にできることから、足腰に不安のある高齢者でも取り組みやすいノルディックウオーキングの講習会なども開催し、「歩こう可児302」を市民運動として展開してまいります。

また、高齢者大学や老人クラブなどの活動により、高齢者が生きがいをもって、より豊かで健全な生活が送れるよう支援してまいります。 


安気に暮らせる地域づくり

介護保険事業による在宅介護サービスを適切に提供していくとともに、春里地区に5カ所目となる地域包括支援センターを新たに設置し、介護予防や相談体制を一層充実してまいります。

さらに、高齢者が住み慣れた地域で必要な生活支援を受けられ、医療・看護・介護・予防が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築に向け、在宅医療の研修会の開催など、地域や関係機関と協力しながら検討を進めてまいります。 


安心な介護・医療の体制づくり

 介護保険事業による介護施設でのサービスを安定的・継続的に提供してまいります。また、介護を必要とする高齢者がその状況にあったサービスの提供を受けることができる環境を整えるため、介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護施設の整備を補助してまいります。

さらに、平成27年度には介護保険制度が改正される予定であり、住民ニーズを把握しながら、第6期となる高齢者福祉計画及び介護保険事業計画を策定してまいります。


重点方針2 子育て世代の安心づくり

未来を担う子どもたちをしっかり守り育てることは、私たち大人の最も重要な役割であります。いじめから子どもたちを守るため、平成24年度に全国に先駆けて条例を制定し、市民や事業者が取り組む仕組みづくりを進め、各方面からも評価を得てまいりました。

放課後児童クラブは昨年、キッズクラブに改称し、対象児童の拡大と長期休暇コースを新設したことにより、ひと月の平均入室決定児童数が、昨年度に比べ334人増加しました。運営を支えていただいているボランティアには、140人を超える多くの方に登録いただいております。

また、子育て政策を立案するために、子育て関連事業の体系化と重点化を進め、その上で、母親が子どもを妊娠したとき、つまりマイナス10カ月を本市の子育て支援のスタートとして位置付けることとしました。妊娠中から始まる子育ての大切さと子どもの健やかな成長のため、子育てに関わる機関や団体が連携した切れ目のない支援を行い、安心して子育てができる環境づくりに取り組んでまいります。

さらに、子育て世代の元気と活力づくりを応援するとともに、一人ひとりの子どもに寄り添い個々の力を伸ばす日本一の義務教育のまちづくりを進めてまいります。 

マイナス10カ月から安心して子育てできる環境づくり

母子健康手帳交付時には、親となる心構えの啓発や子育て支援に係る情報提供などを行い、子育てへの不安の解消に取り組むとともに、妊婦健康診査費の助成により母体や胎児の健康を保持し、安心して妊娠、出産できる環境を確保いたします。乳幼児の発達、発育の確認とハイリスク家庭の早期発見、支援を行うために、乳幼児健康診査を実施いたします。

充実した保育サービスを提供していくため、特別保育事業などに係る私立保育園への補助を引き続き実施するとともに、私立幼稚園では、保護者の負担を軽減する幼稚園就園奨励費補助金を拡充してまいります。

キッズクラブは、ボランティアの皆さまのご協力により地域で子育てを支える形が整ってきており、安定的で継続的な体制の確立に取り組んでまいります。

また、発達に何らかの心配がある子どもの状態やニーズに応じた適切なサービスを提供するため、サービスの計画策定及び確認、訪問調査を行う相談支援事業所を新たに開設いたします。 


子どもに寄り添い個々の力を伸ばす義務教育のまちづくり

いじめの防止は、いじめをしない子どもを育てる、子ども自身がいじめ防止の主役になるという視点に立ち、家庭・学校・地域など社会全体で取り組む必要があります。市専門委員会において、インターネットなども活用しながら相談や通報を受けるとともに、協力事業所・団体認定により社会全体の気運を高めてまいります。また、家庭が担う役割を重視し、家庭での取り組みを例示するなどの啓発を進めてまいります。学校では、これまでのいじめ防止の取り組みを整理し、いじめ防止教育プログラムとして明確にいたします。

児童生徒の生活や学習状況における困り感を把握し対応していくため、学級アセスメント調査や全国標準学力検査の実施、スクールカウンセラーやスクールサポーターなどの配置をいたします。あわせて複雑で多様な家庭問題に対して関係機関と連携した対応をするため、スクールソーシャルワーカーを配置いたします。また、小1プロブレムに対応するためのカリキュラムを作成、実践してまいります。

さらに、学校施設の環境を整えるため、中学校5校の普通教室などに空調設備を設置いたします。小学校11校についても設置準備を進めてまいります。

グローバル社会の中で、物怖じすることなく他者と良好な関係を築くことができるよう、子どもの頃からコミュニケーション能力を高めていく必要があります。そのため、小学校での英語コミュニケーションの研究と、コミュニケーションワークショップを実施してまいります。

 昨年、レッドランド市長らの訪問によりオーストラリアとの交流が本格化してまいりました。平成26年度は、春里小学校及び南帷子小学校に小学生を招き、交流を深めてまいります。さらにこの交流が経済方面にもつながっていくことを期待するものでございます。


子育て世代の元気・活力づくり

若い世代をはじめ幅広い世代の方々が、自然と触れ合い、家族や友人と交流することで心身が安らぎリフレッシュできるよう、市内の多彩なスポットを結び、徒歩やサイクリングで巡るルートを「(ケイ)ルート」として提案し、看板設置などの整備をしてまいります。「Kルート」の「K」は、可児・健康・子育て・観光などの頭文字を象徴するものです。

4月に県内初の全面人工芝の運動公園スタジアムがオープンします。KYB株式会社をネーミングライツ・パートナーに迎え、愛称をKYBスタジアムといたしました。KYBテニスコートとともに、子育て世代をはじめとする多くの皆さまに活用いただくことで、生き生きとした暮らしの創造に活かしてまいります。

さらに、可児駅前の公共用地に、「子育て」「健康」「賑わい」をテーマに、子育て支援を総合的に推進する機能を中核として、高齢者から青少年まで、幅広い世代の健康づくりや交流が繰り広げられる、本市のシンボル的な空間を創出いたします。今後、市議会をはじめ市民皆さまのご意見をお聴きしながら取り組んでまいります。


重点方針3 地域・経済の元気づくり

地域の資源を活かし、市民が誇りを持てる可児市の顔が必要であると考えます。これまで、美濃金山城が国史跡として指定されるとともに、久々利大萱地区を「美濃桃山陶の聖地」として位置付け、「荒川豊蔵資料館」を再オープンしたほか、大萱古窯跡群の調査を進めてまいりました。また、産業の振興と雇用の創出を図るため、企業立地に取り組み、新たな5社の進出と4社の建設・増設につなげました。引き続き産業振興と企業立地などによる躍進する経済づくりを進めるとともに、地域資源を最大限に活かし、市民皆さまが元気に過ごすことができる活力ある地域社会づくりに取り組んでまいります。

可児市の“顔”づくり

市内に点在する歴史・文化・自然といった地域資源や観光資源を、連携させながら「(仮称)可児市観光グランドデザイン(案)」により展開し、各エリアの特徴を活かした新たな魅力を創出、発信してまいります。

特に、窯本体の位置と数が確認できている牟田洞古窯跡について、詳細な調査を実施するとともに、窯下古窯跡の試掘調査も実施してまいります。これらの窯跡は、文化財としての価値や歴史的な重要性が高いと考えられることから、一体的な国史跡の指定に向けて取り組んでまいります。また、荒川豊蔵資料館では、企画展などにより人間国宝故荒川豊蔵氏の偉業を伝えるとともに、周辺を整備していくための基本構想を策定してまいります。これらを擁する久々利大萱地区を国宝を育んだ「美濃桃山陶の聖地」として、市内外に発信してまいります。

一方で、国指定史跡美濃金山城跡については、保存管理の計画策定に着手いたします。また、眺望に配慮して環境を整備するとともに、地域内の歴史資源を活用した講座などの開催により、認知度を高めてまいります。 


躍進する経済づくり

商工業や農林業の振興と地域の活性化を図るため、住宅リフォーム助成金制度や小口融資制度などを引き続き実施するとともに、サトイモなどを活用した特産品の創出のほか、歴史・文化・自然そして人といった地域資源を可児ブランドとして発信してまいります。

企業誘致や市内既存企業の事業拡大は、大きくかつ安定的な経済波及効果と雇用の場の創出につながり、一層の促進が不可欠です。交通アクセスなどの好条件を積極的に発信していくとともに、県内トップクラスの奨励金などのサポートにより企業立地を促進してまいります。さらに二野工業団地へのアクセスを強化するため、二野・大森地内の市道56号線の改良事業を進めてまいります。 


元気な地域社会づくり

子育て世代や高齢者の元気で安気な暮らしを、地域社会全体で支える仕組みとして、市民の地域社会への貢献活動を推進していく「地域支え愛ポイント制度」を始めます。社会貢献活動に対して交付されるポイントを、市が発行する「(ケイ)money(マネー)」と交換し、市内の協力店で使用していただくことにより、地域経済の活性化にも資するものであります。協力店にも制度を支える協力金を負担いただくこの仕組みは、市民、事業者、行政が支える「社会貢献システム」であり、3年間をモデル期間として、検証を行いながら進めてまいります。「K-money」の「K」は、可児・経済・活力・協働・貢献などの頭文字を象徴するものです。

開発から30年以上を経過した住宅団地でみられる空き家の増加は、本市の大きな課題であります。空き家・空き地バンクの推進により物件の流通を促すとともに、地域、関係企業との連携を強め課題解決に向けて取り組んでまいります。

エネルギー施策については、本市が有する地域資源を活かした再生可能エネルギー事業を、民間との連携によって進めてまいります。

また、土田の渡地区において、子育てやスポーツなど多様な市民活動や防災拠点に対応した多目的広場の整備に着手してまいります。


重点方針4 “まち”の安全づくり

 平成11年と平成22年の豪雨災害では尊い人命が失われました。豪雨災害の教訓を風化させることなく、市民の安全を守る防災力の向上に向け、河川改良をはじめ、浸水被害が発生した地域を中心に、雨水排水路の整備を実施してまいりました。また、水防訓練の実施、わが家のハザードマップの作成、地域防災リーダーの育成など、防災体制の強化を推進してまいりました。さらに地域防災計画を見直し、自助・共助・公助の役割を明確にいたしました。

一方で、さつきバスの再編などによる生活の利便性の向上や医療機器補助による医師確保など、暮らしの安心を守る取り組みを進めてまいりました。

自然災害を完全に防ぐことは不可能であり、大規模な地震や豪雨による被害を最小限に抑えることができる、災害に強い安全なまちづくりを進めていかなければなりません。これまで実施してきた大規模事業に一定の目途が立ったことから、道路などの住民生活に密着した社会基盤整備に、投資的経費を充ててまいります。また、自然と人とが共生しながら安心して住める環境を形成していくとともに、不安をできるかぎり解消し、誰もが幸せを感じながら暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

災害に強い安全な“まち”づくり

 雨水排水計画に基づき中恵土第4雨水幹線整備工事を実施いたします。また、美里ケ丘雨水排水測量設計を実施するとともに、今川の改修を進めます。急傾斜地崩壊対策については、岐阜県と協力しながら進めてまいります。

一方、災害情報伝達手段として重要な役割を果たしている、同報系の防災行政無線の操作卓を更新するとともに、デジタルMCA無線機を災害対策本部、避難所、関係機関に配備してまいります。

さらに、公民館などの指定避難所5カ所に、太陽光発電装置と蓄電池による発電・蓄電連携システムを導入してまいります。

地域における防災体制の中核的な役割を果たしている消防団ですが、団員確保は厳しい状況が続いています。市民や事業所に消防団活動を啓発していくとともに、団員の報酬などの処遇改善を行います。さらに、市民皆さまにより地域で行われる防災・減災活動を支援していくため、従来の補助制度を整理し、より活用しやすい地域防災力向上事業補助金に移行いたします。 


安心して住める“まち”づくり

 橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、田白橋及び虹ケ丘橋の修繕工事を実施いたします。また、今渡・土田地内の市道14号線、皐ケ丘地内の市道2278号線の舗装修繕などを行うとともに、これまで整備してきたトンネル、横断歩道橋などの道路関連施設の総点検を実施いたします。

児童生徒の安全な通学の確保及び広域交通の利便性の向上を図るため、羽崎地内の市道2211号線、下恵土地内の市道18号線、下切地内の市道43号線の道路改良事業を実施いたします。また、今渡地内で国道21号に中央分離帯が設置されたことから、周辺地域の住民の利便性を確保するため、生活道路を整備いたします。

また、災害に強い水道施設の集中的かつ計画的な整備を、水道施設耐震化計画により進めてまいります。平成26年度からは、低区配水場、長洞ポンプ場の耐震工事と基幹管路の耐震管への布設替に係る設計業務を実施いたします。また、耐震性能が劣る鳩吹台配水池の廃止を念頭に、鳩吹台と虹ケ丘の配水ブロックを統合するため、配水連絡管を整備いたします。

下水道については、広見東汚水幹線管渠の布設工事を実施するとともに、下水道施設の長寿命化計画を策定し、定期的な点検と予防保全的な改修により施設の寿命を延ばし、維持管理にかかるコストの平準化と低減を図ってまいります。また、下水道事業の経営基盤を強化するため、地方公営企業法の適用に向けた固定資産の調査、評価作業に着手いたします。 


幸せを感じられる“まち”づくり

地域福祉の担い手である民生児童委員や社会福祉協議会の活動を支援してまいります。また、障がい者の社会生活と日常生活を支えるため、障がいの程度や取り巻く環境に応じて、障がい福祉サービスなどを提供してまいります。

一方で、福祉の向上と健康増進を図るため、義務教育終了までの子ども、重度心身障がい者及びひとり親家庭に対して、保険内診療にかかる自己負担額を助成してまいります。

さらに岐阜社会保険病院を二次医療が行える地域の基幹病院として位置付け、医師確保に伴う先進医療機器の整備費を助成してまいります。


行財政運営について

これまで、さまざまな機会を利用して、私から市民皆さまに市の財政状況や今後の取り組みについて直接ご説明するとともに、市政情報の公開と広報手段の拡充を進めてまいりました。また、10のテーマに対して市民委員会を設置し、市民参画による施策の検討を進めてまいりました。一方で、ふるさと応援寄附金制度の創設や事業評価などの取り組みにより、ここ3年間で地方債残高が約37億円減少し、財政調整基金などが約34億円増加するなど、一定の成果を上げてきています。

しかし、楽観することなく、4つの重点方針のもと目指すまちの実現に向け、限られた財源と職員体制で効率的かつ効果的な行財政運営に取り組んでいかなければなりません。今後とも、市民皆さまとの積極的な対話、行財政運営の効率化、外部資金の獲得など、「対話と共感による市民中心のまちづくり」に取り組んでまいります。 

市民との積極的な対話

市民皆さまとの積極的な対話が市政運営の起点です。引き続き地域や各種団体の皆さまから直接意見を拝聴し、私の言葉で考えを伝えさせていただくとともに、市民皆さまから広く政策提案をいただいてまいります。 


戦略的な広報・広聴の推進

誰もが関心を寄せ、必要な人に必要な情報を届けることができる効果的で積極的な情報提供を、幅広い世代に受け入れられる多様なツールの活用により推進してまいります。また、若い世代との対話の機会を設け、行政改革に反映してまいります。 


積極的な民間活力の導入

複雑、多様化する行政需要に限られた職員数で対応し、より創造的な業務に取り組む環境を創出するため、「民間にできることは民間に」の考えのもと、市民サービス水準の維持・向上を前提に、適切な時期・手法により民間活力を導入していく必要があります。住民票の交付、旅券発給申請受付などの窓口業務の一部を民間事業者へ委託するとともに、指定管理者制度の新たな施設への導入についても検討してまいります。


経営的視点による公有財産の最適化

学校や公民館に加え、橋りょうや農業施設、上下水道施設といったインフラは、集中的に整備してきた経緯もあり、大規模な改修や更新が、将来的に財政を圧迫することが予想されます。各施設の現状を洗い出し、施設の運営経費や更新費用を含めた、今後50年間に要する総事業費の推計を行うとともに、安全性の確保と機能維持を念頭に、最も費用対効果の高い維持管理手法を検討してまいります。また、人口推計や多様化する市民ニーズなどを踏まえ、市の身の丈に合った施設の在り方について、総合的、長期的な視点で見直しと方向付けを行います。


多様な手段による外部資金の獲得

人口の減少や高齢化により市税収入の増加が見込めない中、市政の安定的な持続、発展に資するため、新しい発想を活かして広告事業収入・企業協賛金・ふるさと応援寄附金といった外部資金の獲得に引き続き取り組んでまいります。


また、市政に関わる課題として、名城大学都市情報学部が平成29年に移転します。移転後の土地・建物の利活用について、各方面に情報の提供などの働き掛けをし、その情報を大学と共有するなど、大学との信頼関係を保ちながら対処してまいります。

一方で、リニア中央新幹線については、早期の開通を願うものですが、地域住民の皆さまの住環境などにさまざまな影響があることから、今後とも住民皆さまの不安の解消に向けて取り組んでまいります。


おわりにあたり

昭和40年代後半からの急激な人口増により成長してきた本市ですが、少子高齢化と集中的に整備した施設やインフラの老朽化という大きな課題にも直面しています。本市が末長く活力あるまちとしてさらなる発展を遂げていくためには、これらの課題に積極果敢に取り組んでいくことが必要です。そのため、中長期的な視点を持った舵取りが重要です。平成27年度に市総合計画前期計画の計画期間が終了することを踏まえ、現在の4つの重点方針をもとに、平成28年度以降の中期的なビジョン策定の準備を、平成26年度から進めてまいります。

幸いにして本市の市民の方々には、多彩なアイデアとパワーがあります。市民の力、地域の力、企業の力そして行政の力を、それぞれ得意な分野で発揮し、かつ連携を図ることにより生まれる相乗効果を、まちづくりに活かせる地域社会づくりに取り組んでまいります。

今後、本格化する少子高齢社会を迎えたとき、子どもから高齢者まで誰もが「可児市に住んでいて本当によかった」と実感できるまちづくりを、今から進めていくことが、現在を生きる私たちに課せられた使命であります。変化を恐れず、職員ともども力を合わせ果敢に挑戦してまいりますので、市民皆さま、並びに議員各位の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の平成26年度の施政方針とさせていただきます。


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